2014年5月31日土曜日

C型肝炎治療の新たな幕開け その2

みなさん、こんにちは!
いかがお過ごしですか?

 暑い日が続きますね。水分補給は忘れずに!

また朝晩の気温差があります。体調管理には気を付けてくださいね。


今朝の通勤途中に出会った、日本橋人形町の紫陽花です。

ちょっとした道端の草木も、季節を運んできてくれますね。




 さて、一昨日に続き ”C型肝炎ウイルスに直接作用する薬剤” のお話です。

ちょっとおさらいです。

C型肝炎ウイルスは、”遺伝子(設計図)” とそれを包む ”殻” で出来ています。



”C型肝炎ウイルスに直接作用する薬剤” は、3種類です。全て飲み薬です。


① プロテアーゼ阻害剤 ”殻”に作用 テラプレビルやシメプレビル、アスナプレビルです。
② NS5A阻害剤 ”殻”に作用 ダクラタスビルやレディパスビルです。
③ NS5B阻害剤 ”遺伝子”に作用 ソフォスブビルです。

このように、”C型肝炎ウイルスに直接作用する薬剤” は目覚ましい進歩を遂げましたが、問題もあることが判明しました。

それは、”耐性(変異)” です。

ウイルスが耐性を獲得すると、薬剤は効きません。ですから、変異の有無はとても重要です。

”殻” に作用 するタイプのお薬、つまり①プロテアーゼ阻害薬と②NS5A阻害薬は、耐性の問題を抱えています。

耐性は、ウイルスの変異(変身)です。仮面ライダーのように変身すると ”無敵な強さ” を持ってしまいます。


耐性(変異)には二種類あります。
もともと獲得 初めから変異(変身)しているもの 
新たに獲得 薬剤によって変異(変身)してしまったもの

特に ”殻”に作用するタイプのNS5A阻害剤に対する耐性について、①もともと獲得 している患者さんが10%程度いると言われています。


さらに ”殻”に作用するタイプの薬剤は、治療に失敗すると ②新たに耐性を獲得 してしまい、以後ウイルス駆除の道が閉ざされてしまいます。

ですから、やるなら一発で決める治療を選ばなければなりません。

将来に禍根を残さないためにも・・・。

2014年5月29日木曜日

C型肝炎治療の新たな幕開け その1

みなさん、こんにちは!
いかがお過ごしですか?

5月29日と30日の2日間にわたり、第50回日本肝臓学会総会 が開催されています。


 今回の目玉は、シンポジウム1 ”C型肝炎に対するDirect-acting Antiviral Agent (DAA) を用いた治療戦略” だと思います。

特設会場には、新しい治療の効果に興味を持つ1000人以上の聴衆が集まり、熱気に包まれていました。



DAAというのは直接作用型の抗ウイルス薬を意味します。

従来使われているインターフェロンは、「体の免疫力を高め、間接的にウイルスを殺す」薬剤で、直接C型肝炎ウイルスに作用している訳ではないんです。

 この数年、”C型肝炎ウイルスに直接作用する薬剤” の開発に目覚ましい進歩がありました。

”C型肝炎ウイルスに直接作用する薬剤” は、3種類です。全て飲み薬です。

① プロテアーゼ阻害剤 テラプレビルやシメプレビル、アスナプレビルです。
② NS5A阻害剤 ダクラタスビルやレディパスビルです。
③ NS5B阻害剤 ソフォスブビルです。

○○ビル、△△ビルと語尾が全てビルで、地ビールみたいですね。


C型肝炎ウイルスは、”遺伝子(設計図)” とそれを包む ”殻” で出来ています。

 C型肝炎ウイルスに直接作用する薬剤は3種類って先ほど言いましたよね。①と②、つまり プロテアーゼ阻害薬 と NS5A阻害薬 は、ウイルスの殻に作用します。

 そして③ NS5B阻害薬、これが画期的なのですが、遺伝子に直接作用するんです。設計図を壊されるんでウイルスは一溜りもないですよね。

現在、行われている三剤併用療法というのは、インターフェロン+リバビリン+プロテアーゼ阻害剤の組み合わせです。

将来的には、プロテアーゼ阻害剤+NS5A阻害剤 (アスナプレビル+ダクラタスビル)、さらにはNS5A阻害剤+NS5B阻害剤 (レディパスビル+ソフォスブビル)が登場する予定です。

インターフェロンを用いない飲み薬だけの治療時代が幕を開けようとしています。

続きはまた明日ね

2014年5月28日水曜日

言霊(ことだま)

みなさん、こんにちは!
いかがお過ごしですか?

 日本医師会では、「地域の医療現場で長年にわたり、健康を中心に地域住民の生活を支えている医師にスポットを当てて顕彰すること」 を目的として”赤ひげ大賞”を選考しています。

 今月号の医師会雑誌に紹介されていました。全国で5人の心やさしい先生が受賞したのですが、その中のお一人、下田憲先生 の ”言霊” に魅かれましたのでご紹介しますね。

北海道のおへそ(南富良野町字幾寅)にある
院長 下田憲先生
院内は先生が書いた言霊であふれている

「悪い薬は用いません。悪い治療も選びません。体を癒すだけでなく、心の癒しもめざします」

これが治療方針です。

 下田先生の言霊は、患者さんとの触れ合いで頂いたものだそうです。患者さんの心の声を、先生が言霊に換えているそうです。

 下田先生がおっしゃるように医療とは、「豊かに生き、満足して死ぬ」事を援助することが役目だと思います。ですから、健康に関する不安を出来るだけ減らして、良い状態で精一杯生きられるようにしたいと思います。

 先生の書かれた言霊の一つがとても心に響きました。

「憎み合い奪い合う時、何かが滅びる。愛し合い、許し合う時、何かが生まれる」



今日も往診に向かう下田憲先生




2014年5月27日火曜日

第10回消化器癌研究会

みなさん、こんにちは!
いかがお過ごしですが?

 山梨で、第10回消化器癌研究会が開催されました。

本日の演者は、山梨県立病院機構理事長 小俣政男先生。
「C型肝炎抗ウイルス剤の開発状況」という演題でした。

ゲノムからみた、C型肝炎ウイルスと抗ウイルス剤開発の戦いについて最新の話題を提供して頂きました。今週の肝臓学会でのご発表が楽しみです。

また、筑波大学 消化器内科 教授 兵頭一之介先生は、「切除不能進行大腸癌化学療法の新展開」 について、ご講演頂きました。

大腸がんの化学療法は、目覚ましい進歩がありました。開発の経緯(無作為比較試験)の結果の考察を含め解説頂きました。地道な比較研究の積み重ねが、今日の進歩を生んだのだと思いました。

明日の臨床に役立つ研究会でした。


2014年5月26日月曜日

お腹いきいき教室が開催されました

みなさん、こんにちは!
いかがお過ごしですか?

 本日、お腹いきいき教室が開催されました。

今回の担当は八島先生で、タイトルは、 「お腹の お・み・ず」 でした。

写真と本分は関係ありません(笑)


腹水がどうして溜まるのか?

おみずは何処からやってくるのか?

どのような治療法があるのか?

分かりやすく説明してくれましたね。

お・み・ず と上手に付き合いましょうね。



2014年5月25日日曜日

OOTEMORI

みなさん、こんにちは!
いかがお過ごしですか?

今朝のジョギング中に立ち寄った雑木林です。

どこだと思います?

高原のリゾートホテルのように見えるでしょ?

なんと、大手町の交差点からすぐのところです。

大手町タワー の公開緑地 OOTEMORI です。見事に雑木林が再現されていますね。

ビルだらけの大手町のオアシスです。
 


2014年5月23日金曜日

市民公開講座のお知らせ

みなさん、こんにちは!
いかがお過ごしですか?

 来る6月14日(土)午後2時から順天堂大学有山登記念講堂に於いて、日本肝臓学会市民公開講座が開催されます。

 この市民公開講座は、日本肝臓学会 ”肝がん撲滅運動” の一環として開催しています。

 今回は 『肝炎・肝がん撲滅を目指して:最新の肝炎・肝癌の診断と治療について』 というテーマの講座です。

 多くの方にご参加をお待ちしています。



2014年5月22日木曜日

プライマリー・ケアは大切 (2)

みなさん、こんにちは!
いかがお過ごしですか?

昨日 の続きです。 

比較的早期に見つかった肝細胞癌の患者さん 羽秋ウツ子さん(仮名)は、ラジオ波焼灼術で、問題なく治療が終わったのですが、どうも気分がすぐれません。

どこか、おかしい・・・

そこで、羽秋さんにききました。
「ほかに何か気付いたこと、ありますか?」 と。

すると、

「そう言えば、最近よく手が震えるんです」

あっ、ひょっとすると・・・

ちょっと、腕を診せてくださいね。手首の関節や、腕の関節を動かすと、カクカクと歯車のように抵抗があります。

やっぱり・・・

ちょっと立って、診察室内を歩いてもらいました。そのつもりで診ると、少し猫背になって、やや小刻みな歩行です。

それに顔貌です。なんとなく表情がありません。

元気がなかったのは、この疾患に伴う”うつ症状”が原因と思われました。

この疾患は、 パーキンソン病 です。 こちらもまだ早期の段階で見つかりました。

これから神経内科の先生にも診ていただく予定です。

患者さんも高齢化し、一つの病気だけではない場合もあります。いろいろな病気を持っていることがあるので、包括的に診療を進める必要があります。さらに各診療科とも協調して、患者さんをサポートする必要があると考えさせられた患者さんでした。


2014年5月21日水曜日

プライマリー・ケアは大切 (1)

みなさん こんにちは!
いかがお過ごしですか?

先日、プライマリーケアの重要性 をお話しましたね。

今日は、プライマリーケアの重要性を再認識させられる患者さんと遭遇したお話です。

羽秋ウツ子(仮名)(75歳 女性)さんです。
C型慢性肝炎(F3) で通院中の患者さんです。

"F3" が分からないという、あなた。ここで 復習 しましょうね。

先日、1cmという、ちっちゃさで肝がんが見つかりました。

早速、ラジオ波焼灼療法にて、綺麗に治しました。 

ここまでは、本邦では普通の経過(欧米を含め外国では奇跡のサイズ)です。

問題はここから始まりました。

ガンになったことは不幸ですが、ガンが早期に見つかり、綺麗に治ったので、まずはメデタシメデタシなのですが、どうも浮かない表情です。

「あれっ?どうしたの?」って感じです。

「はぁー、最近微熱があるんです。それと元気が無くて・・・、なんとなく食欲もないし・・・、体重も落ちました、はぁー・・・」てな感じです。

実際に診てみると、36.6℃、体重も-500gで何とも言えません。血圧や呼吸など変化はありませんでした。

ラジオ波焼灼術の合併症は、一通りチェックしましたが、特に問題ないようです。

どうしちゃったのかな? ガンになっちゃって、落ち込んじゃったのかな?

分かんない時は原点に帰れ!刑事ドラマでは現場に戻りますよね。僕らの場合は、患者さんに戻ります。


「羽秋さん、他に何か気付いたこと、ありますか?」とたずねました。

すると羽秋さん、「そういえば先生・・・・」ってヒントをくれたんです。

続きはまた明日ね。


2014年5月20日火曜日

”お腹いきいき教室” のお知らせ

みなさん こんにちは
いかがお過ごしですか?

 今日は、”お腹いきいき教室” のお知らせです。
お腹にまつわる 病気や予防(健康)について、
出来るだけわかりやすくお話するよう心がけています。

お茶会気分でご参加くださいね。

今回は、お腹の お・み・ず についてです。

乞うご期待!



2014年5月18日日曜日

田植えの準備は万全

みなさん、こんにちは
いかがお過ごしですか?

今週末は良い天気に恵まれましたね。

実家の庭に咲いていた鈴蘭 
可憐な白い花がまさに鈴生り

八ヶ岳南麓は春爛漫です。草木は芽吹き、小鳥たちは囀り、賑やかになってきました。
BIO FARM OBI の田圃にも、八ヶ岳の伏流水が注ぎ込まれ、田植えの準備を整えつつあります。



 田の神様たちも、微笑みながら見守ってくれています。
この辺りは標高が高いので、今週末から来週にかけてが、お田植えの最盛期って感じです。

反対側から見ると、朝日が逆光になって、
降臨っていう感じです。

今年も無事に実りの秋が迎えられますように!とお願いしました。

太陽光発電パネルと水田、
八ヶ岳南麓は自然が資本です。
(背景の山が八ヶ岳ですよ)

甲陽病院の駐車場からみた南アルプス連峰
3000m級の山々の残雪もだいぶ溶けましたね。

甲陽病院の駐車場からみた富士山
林の上にピラミッドみたいな三角が富士山です。

病院の売店では春まき野菜の種も売っています!

第2回 HEAT 研究会

2014517日土曜日

みなさん、こんにちは
いかがお過ごしですか?

 本日は東京大学消化器内科の関連施設が集まり、新しく登場した水利尿薬(Tolvaptan)の初期使用経験についてディスカッションしました。このお薬に関して 前回の記事 も参考にして下さい。

 このお薬で治療した患者さんの経過を詳細に検討することによって、どのような患者さんに最も効果があるのか?副作用は大丈夫なのか?腎臓内科の先生にも参加して頂き討論しました。

 肝臓が疲れてくると、タンパク質を十分に作ることが出来なくなったり、肝臓が硬くなって門脈血が肝臓に流れにくくなり、結果として浮腫や腹水が出現します。体の電解質のバランスを崩さず、腎臓にも優しく、浮腫や腹水の原因となる余ったお水だけ外に出してあげれれば理想的です。

 お薬を始めるタイミングがポイントになりそうです。




第6回肝アンギオ研究会

2014516日金曜日


 帝京大学ちば総合医療センターでクルズスを行った後、第6回肝アンギオ研究会に参加しました。

この研究会は、首都圏で血管造影・肝動脈塞栓術を行っている内科医の勉強会です。

 今年の2月より、肝動脈塞栓術の際に用いる”塞栓物質”に新たな仲間が加わりました。従来のジェルパート(多孔ゼラチン)に加え、ビーズと呼ばれる永久塞栓球物質が使えるようになりました。

 今回は、血管塞栓用ビーズの初期使用経験と技術的工夫について有意義なディスカッションが交わされました。

 まだ経過観察期間は短いですが、比較的安全に施行されたことや治療後の画像所見の変化が従来のゼラチンと異なること、さらに施行1か月後の画像所見で効果判定した方が良さそうであることがわかりました。

 どのような腫瘍に最も効果を発揮するのか、注入(塞栓)の工夫、特に注入終了のポイントなど、これからさらに検討する必要がありそうです。




 

2014年5月16日金曜日

クルズス

みなさん、こんにちは。
いかがお過ごしですか?

 今日は 帝京大学ちば総合医療センター で学生の講義を行いました。

 医学部はご存知のように6年制です。1,2年生は教養、3年生は基礎医学、4年生は臨床医学、5年生は病院実習、6年生はまとめ、というのが、大きな流れです。


 房総半島の内側、市原市にあります。病院は山の上にあり見晴良好です。

5年生に対するプライマリー・ケア実習の一環として、90分の講習(ドイツ語でクルズス Kursus といいます)を担当しています。

 プライマリー・ケアというのは、患者さんの抱える問題に対して、継続的なパートナーシップを築き、家族及び地域という枠組みの中で責任を持って診療する臨床医によって提供される、総合性と受診のしやすさを特徴とするヘルスケアサービスであると定義されています。

プライマリー・ケアは、欧米では家庭医が担当しています。日本ではまだ大病院志向であったり(大きいところが結局安心と思うのか)、そこで行われている細分化された医療が行われています。

プライマリ・ケアの五本柱は・・・






 これらを実践する終局的な目標は、地域での疾病予防や重症化防止に重点を置き、無駄な医療費を抑えることです。例えば高血圧、高脂血症、糖尿病をきちんとコントロールすれば、心血管系の病気のリスクを大幅に減らすことができます。

 家庭医療が充実することで、いつでも”頼れる”という安心感、医療への信頼感が強まり、地域の健康意識が向上します。結果的に無駄な検査や投薬も減り、必要なところに集中して医療費を投入できるので、国全体の医療の質が向上すると思われます。

 実際、日本では高齢化と核家族化、さらに地域の連帯が薄れていおり、今後プライマリ・ケアの実践はますます重要になってきます。

 講習では、プライマリー・ケアの実践に役立つ超音波検査の実習と、そもそも医師にならなければプライマリー・ケアの実践は不可能(笑)なので、国試対策術も教えています。




2014年5月15日木曜日

C型慢性肝炎と発がん (3)

みなさん、こんにちは。
いかがお過ごしですか?

C型慢性肝炎と肝がんの続きです。

 C型慢性肝炎で最も大切なことは、発がんのリスク算定に基づいて治療戦略を立てていく ことです。

 例えば、ケイコ(軽子)さん70歳で一段目だったとします。

 (女性に多いのですが、感染して時間が経過していても、アルコールの影響もなく、閉経までは、鉄欠乏状態なので、肝炎が沈静化していた結果、線維化が進んでいない患者さんが少なからずいます。)

 85歳まで生きたとして、残りの人生あと15年。一段階目の発がん率は年率0.5%以下ですから、
 生涯発がん率=年率0.5%以下x15年
          =7.5%以下 となります。
生涯発がん率は、わずかに10%以下なので、無理(身体的、経済的負担)して、ウイルス駆除を行う必要がないということになります。

ところが、シゲオ(重男)さん70歳で三段階目だったとします。
同じく残りの人生あと15年と設定します。三段階目の発がん率は年率3%ですから、
生涯発がん率=年率3%x15年
         =45% となります。
さらに10年で一段階上がるので、もう少し発がん率は上がると判断します。
だから、シゲオさんは、ウイルス駆除を検討するということになります。

 このように、一見、同じように見えるC型慢性肝炎でも、炎症の結果である肝臓の硬さによって、発がんへの道のりが全く違うこと、発がんのリスクに応じて、治療戦略をたてることが必要なのです。

 放置しておくのは最も危険です。きちんと診てもらうことが大切ですよ。

2014年5月14日水曜日

C型慢性肝炎と発がん (2)

みなさん、こんにちは。
いかが、お過ごしですか?

 昨日に続いて、C型慢性肝炎と発がんのリスクについてです。

Aさんに登場してもらい、C型慢性肝炎の程度(病気の重さ)は、肝臓の硬さで決まることをお話しましたね。その続きです。

「C型慢性肝炎は肝臓の硬さによって4段階に分けられるんです。硬さの原因はスジって言いましたよね。スジのことを線維、英語でFibrosis です。なので、頭文字であるFをとってF分類って呼ばれているんです。」

1段階目 (F1) は、軽度の線維化(少し硬い)
2段階目 (F2) は、中ぐらいの線維化(中ぐらいの硬さ)
3段階目 (F3) は、重度の線維化(かなり硬い)
4段階目 (F4) は、肝硬変(カチカチ) 

と、分けられます。

「C型肝炎に感染すると、ほとんどの患者さんは慢性化して、この階段を上がっていきます。1段上がるのに10年かかると言われているんです。だから感染してから時間が経っていると肝臓が硬くなっている可能性が高いんです。さらにGPT (ALT) が高い(炎症が激しい証拠)と、早めに階段を駆け上がってしまうんです。」


          「じゃあ、私は輸血から30年以上経っているんで、硬くなっているかも
          しれないんですね。」
          「しかもGPTは高めですし心配よね。」
「一番大切なことは、段階によってガンになる確率がまったく違うことです。F4 (肝硬変)では年率8%, F3(重度の線維化)では年率3%, F2(中ぐらいの線維化)では年率1.5%, F1(軽い線維化)では年率0.5%以下と予測されているんです。」

「ですから、今、何段階目にいるのかが、とても重要なんです。そのためには肝生検といって、肝臓に針を刺して、肝組織の一部を取り出して顕微鏡で線維化の程度を診て決めます。」


          「そうですね、私が何段目にいるのかっていうのが、大切ですね。」
          「知らなかったわ。でも肝生検はなんか大変そうですね。」


「もちろん、肝生検は必要な検査ですが、何段目にいるのか?、もっと簡単に知る方法があるんです。」
「それが簡単な血液検査で分かる”血小板数”です。血小板数は、肝臓の線維化と強い関連があります。線維化が進む(肝臓が硬くなる)と血小板は徐々に少なくなるんです。」

正常の人では、血小板数20万です。
1段階目 (F1) 、軽度の線維化の人では17万
2段階目 (F2) 、中ぐらいの線維化の人で15万
3段階目 (F3) 、重度の線維化の人で13万
4段階目 (F4) 、肝硬変の人で10万以下です。

「2割ぐらい、例外の患者さんがいますが概ね血小板数で発がんリスク(何段階目にいるのか?)が予測出来るんです」


     
           「あら、やだぁ。先生、私の血小板数は5万よ。ということはもう肝硬変なのね。」
     「どうしましょう?」

「肝硬変だからって、すぐに、どうにかなっちゃう、わけではありません。」
「発がん率が高いので、ほっといってはいけないということです。」
「4段階目(肝硬変)の発がん率は年率8%です。消費税程度と思わないでくださいね。今、74歳、あと10年寿命があったとすると、年率8%x10年で80%の確率でがんになる可能性があるということが推測できるんです。」

       
                  「そうなんですね。だから経過観察が必要なんですね。」
                 

 「わかっていただければ嬉しいです」「さらにAさんの場合、小さいけど既に発がんしているので再発率は年率20%になります。」「今回のがんは綺麗に治りますので今後の経過観察がとっても重要ですね」


               「わかりました。ありがとうございました。きちんと通いますので
                宜しくお願いしますね。」

今日のまとめ


2014年5月13日火曜日

C型慢性肝炎と発がん (1)

みなさん、こんにちは。
いかがお過ごしですか?

 五月も中旬になると、春から初夏という陽気になりますね。
本日の甲府地方気象台発表によりますと甲府市の最高気温は31℃でした。ただし湿度は29%で風速も3m/sほど。爽やかな一日でした。

毎週火曜日は、山梨県立中央病院 で外来診療を行っています。

 肝臓がんの患者さんを中心に診させて頂いています。そんな外来の出来事から皆さんのお役に立てそうなお話をしますね。(ガンちゃん先生を見習って頑張ります)


 本日、はじめて外来を受診した患者さんです。
74歳の女性Aさんです。保育園に勤められていましたが、定年後ボランティアで活躍している元気いっぱいっていう印象です。40歳で子宮筋腫の手術をした際、輸血したとのことでした。

そんなAさん、肝臓に腫瘍があるということです。

血液検査の結果をみますと、肝機能は比較的保たれていますが、GPT (ALT)は70ぐらいに上昇、血小板数は5万まで低下していました。

「私、注射が嫌いなんです。C型肝炎っていうことは分かっていたんですけど・・・食事とか気を付けて、無理しないようにしていればいいんじゃないかって思っていました。」

「年に1回、健診を受けていたんですが、今回ひっかかちゃって・・・」

「肝臓に腫瘍があるから、大きなところで診てもらうようにって言われたんです。」



 幸いにも、腫瘍はまだ小さく1cmほどで、しかも一つだけでした。

 Aさんに、C型慢性肝炎の程度と発がんの関係を説明して、定期観察の必要性を理解してもらいました。

「Aさん、C型肝炎にも程度(病気のおもさ)があるんですよ、皆、同じじゃぁないんですね。何によって程度が決まるかというと、肝臓の硬さなんです。」

「これを見てください。これはヒトの肝臓を顕微鏡で見た写真です。例えが悪いですが、肝臓はスーパーで売っているレバーそのものです。本来、赤くて、ツルってしていますよね。」


「3枚の顕微鏡写真を上から下に見ていくと、何か気が付きませんか?」

「下に行くにしたがって、黒い筋(スジ)が入って、ゴツゴツしてきますよね。そうです、このスジが肝臓の硬さを決めているんです。」

「職人さんの手は硬いですよね、毎日刺激(炎症)を受けることによって、皮膚に筋が入って硬くなるからです。肝臓も同じで、ずっと炎症が続くと肝組織に筋が入って硬くなるんです。」

「だから筋の入り具合(硬さ)で、C型肝炎の程度(病気の重さ)は決まるんですね。」



⇒C型肝炎の程度と発がんの関係は明日に続きます。

2014年5月12日月曜日

一寸先は・・・だから。

みなさん、こんにちは。
いかがお過ごしですか?

今日、悲しいお知らせが届きました。
ブログでは、努めて、明るい話を中心に書いていたのですが・・・

やはり、医療は生き様の縮図です。悲しい話もあっていいかなって、やっぱり喜怒哀楽が無いと人生つまんないと思うんです。 ”自分に正直に、何事も” ですね。

門脈動脈同時塞栓療法を行っている在りし日の岩本昭三先生(右)

 僕が憧れている医師は何人かいるんですが、その中のお一人、ガンちゃん先生こと岩本昭三先生が5月11日63歳の若さで急逝されました。急性骨髄性白血病だそうです。
 
 先日のゴールデンウイークに米国で行われた Digestive Disease Week (消化器病学のオリンピックのような学会です)で、元気に発表されている様子を、 ガンちゃん先生奮闘記 で報告したばかりなのに・・・

 ガンちゃん先生(あえてそう言わせて頂きます)のブログを見て頂ければわかりますが、個性もあり、人情もあり、そして組織に属していないので、良い意味で自由奔放で。なによりも肝癌治療に情熱をお持ちでした。

 その自論展開に、学会などでは時に理解してもらえないこともありましたが、僕はそんなことよりも、人としてのガンちゃん先生が好きでした。

 生い立ちから、医師修業時代、それから肝癌との戦い、共感すること、教えられることがたくさんありました。

 韓国済州島の学会で呑んだのは今となっては良い想い出です。ガンちゃん先生の遺志を引き継ぎ、肝癌とガチンコ勝負していきます。天国からガンちゃん先生がきっと見守っててくれると信じてます。


最後にガンちゃん先生奮闘記から引用です。

「お盆では、人の人生、寿命を考えます。

その日、その日で悔いのない一日を過ごしていきたいとつねづね思っています。つまらない後悔はしないように心掛けています。」 と

人生、一寸先は闇です。だから悔いのないように毎日を積み重ねていきましょう。