2014年6月10日火曜日

本当にそれでいいのか?

みなさん、こんにちは。
いかがお過ごしですか?

京都での研究会も終わり、通常業務に戻っています。
目の前の患者さんを診ながら、研究会を振り返ります。

そして、いつも思うのが、「本当にそれでいいのか?」 という思いです。

どいうことか? 説明しますね。

 日本の肝がん患者さんの予後は、欧米の2倍以上です。もうその時点で、日本の診療システムの方が優れていると思うのですが、”エビデンスがない” と言って認めようとしないないんですね。

「生存期間が長いのは、まだ癌かどうかわからないうちから治療しているからではないんですか?」 
ウイルス肝炎患者さんを囲い込み、定期的スクリーニングを丹念に行っているから、早く見つかるんです。

 すると今度は「コストパフォーマンスが悪いからそのようなスクリーニングは成り立ちません」と言い出します。

「そのスクリーニング法、治療法には、エビデンスが無い」。

 自身がさして患者さんを診たことがない、治療したこともない、(製薬会社お抱えの?)研究デザイン屋さんにはわかないでしょうね。

 スクリーニングや治療は、”熱意” でナンボでも変わるということが。
例えば欧米で行われている塞栓術と本邦の塞栓術は、別物と思えるぐらい違います。

 それがバイアスなら、いいじゃないバイアスで。医師の診たては、バイアスなんです。本当に無作為なら患者さんに病気のステージと身長と体重を入力してもらってアマゾンで薬を買っていただけば良いのです。

 無作為比較試験はもちろん大切です。決して否定はしていません。動注化学療法の正当性を証明することの大切さは昨日書きました。ただし無作為比較試験の結果だけで実臨床が決まるわけではないと言いたいのです。

今まで肝癌患者さんの生存を支えていた塞栓術を、早々に切り上げてソラフェニブに切り替えるべきだとか、決めつけるのが乱暴だと言っているのです。



 患者さんの病状(腫瘍や肝機能)、合併症、家庭環境、患者さん自身の気持ちなど、相談しながら総合的に判断(これをバイアスというならバイアスです)して治療は決まっていきます。なかなか杓子定規的には決まらないのが現実ですね。

2014年6月9日月曜日

第4回国際京都肝がんシンポジウム

みなさん、こんにちは
いかがお過ごしですか?

 6月7日土曜日から6月8日日曜日までの2日間、京都国際会議場にて4th International Kyoto Liver Cancer Symposium (IKLS) が開催されました。



6月7日土曜日は、

Poster session. treatment 6 の座長を、韓国の Guohong Han 先生とともに務めさせていただきました。
6月8日日曜日は、

Session IX : How to manage advanced HCC with vascular invasion ? 





脈管浸潤を伴った進行肝細胞がんの治療法について議論するセッションで発表させて頂きました。




 肝臓の脈管には、血管系として動脈(きれいな血が供給される)、静脈(汚れた血が返却される)、そして門脈があります。さらに肝臓の下水(胆汁)道である胆管があります。

 門脈という聞き慣れない血管、これは腸からの栄養分を肝臓に送り届ける重要な役割をしています。肝臓の根元では親指の太さぐらいある血管です。

肝臓がんが進行すると、脈管、特に門脈に高率に浸潤します。

 門脈に腫瘍が浸潤すると、①肝内門脈流の減少②肝外門脈圧の上昇③門脈を介して癌の肝内散布が起こります。

 門脈は肝臓に向かって流れています。そのため門脈が腫瘍で詰まってしまうと、肝臓には栄養を満載した門脈血が流れてきません。ただでも草臥れている工場に材料が来ないので、工場は生産能力が落ちますよね?これが肝不全の原因です。

 門脈はとても太い血管で血流も豊富です。この血管が腫瘍で詰まって堰き止められたらどうなるでしょう?血流は行き場所を失って、迂回します。迂回路として狙われるのが食道静脈や胃静脈です。そもそも食道や胃の静脈は、大量の血液が流れるように設計されていませんので、圧に耐え切れなくなり、血管にコブができます。さらに圧がかかると破裂します。これが静脈瘤破裂ですね。

 さらに門脈に入り込んだ腫瘍は、門脈流に乗って全肝に散布されます。以上の理由で門脈腫瘍浸潤は厄介なんです。

 様々な治療法がありますが、無治療と比較して有意に生存期間の延長が証明されているのはソラフェニブ(ネクサバール)だけです。

 動注化学療法を含め他の様々な治療法は、無治療と比較して来なかったのです。もちろんやっている私たちは効果があると思っているのですが証明しないと理解してもらえません(結果が良ければ良いとも思いますが・・・)。今までは、無治療との比較だったので困難だったのです。

もしあなたが患者さんだった場合、「新しい治療法がありますが有効性はわかりません。片方は無治療、片方は新規治療法です。どちらをやるかはくじ引きです。」で、やりますか?

 でもこれが本筋なんですね。「何とかしたい、無治療より良さそうだ」で、治療して来てきたのが今までの日本の現状です。それなりに結果もついてきているので、余計に証明が必要なんです。ですから現在”ソラフェニブとソラフェニブ+動注化学療法の比較試験”が行われています。

 本シンポジウムでは、動注化学療法のエビデンス構築の重要性(自分への戒めとして)と当院で治療してきた動注化学療法の成績を報告しました。


 拙い英語でしたが、聴衆の笑いを2回とれたことは、満足しています。


 動注に拘っているわけではありませんので、少しでも患者さんが良い状態で長生きしてもらえるよう頑張りたいと思います。
最後まで参加していたら記念撮影に入れて頂きました。

夜の帳が下りはじめた今日の街並み

古代と近代の塔

レセプションで日本文化と出会いました。
僕の知識としては外人レベル。

美しい日本文化を守らないとね(笑)

2014年6月7日土曜日

第50回日本肝がん研究会

2日目

みなさん、こんにちは
いかがお過ごしですか?

 6月5日木曜日から6月6日金曜日までの2日間、京都国際会議場にて第50回日本肝癌研究会が開催されました。



 当院の関係では、

大木隆正先生(当院勤務後、現三井記念病院消化器内科医長)が、「ソラフェニブ長期投与例の特徴」、「肝動脈塞栓術とソラフェニブの併用療法は無増悪期間を有意に延長する」でソラフェニブの有効性を、また「肝細胞癌の遠隔転移に対してサイバーナイフは極めて有効である」を報告しました。

内野康志先生(当院月曜日午後の血管造影担当、東京大学消化器内科 特任臨床医)は、「Bモードで検出困難な肝腫瘍に対するソナゾイド造影超音波下ラジオ波焼灼術:どのような症例で造影剤が有効か」で、肝表や局所再発病変、小病変における造影超音波下ラジオ波焼灼術を報告しました。

近藤真由子先生(当院水曜日午後の血管造影担当、東京大学消化器内科 大学院生)は、「肝細胞がんにおける血清オートタキシン抗原量の意義」で、血清オートタキシンは癌の悪性度と関与したり、肝の線維化とも関与するが、肝細胞がん患者群では、より肝の線維化と関与していることを報告しました。

そして、私、小尾俊太郎は、「肝動注化学療法」セッションの座長を務めさせて頂きました。

いろいろ学ぶことができて、同じフィールドで活躍する仲間と会って、語らって、とても有意義な研究会でした。


京都国際会議場に展示されていた
地球温暖化防止京都会議の採択時に使われた木槌

来年は神戸で 具英成先生が会長で開催される予定です。

夜は、引き続き開催される International Kyoto Liver Cancer Symposium の前夜祭が、曼殊院門跡 で執り行われました。


こちらは皇族専用、我々は裏口から拝観

どちらも美しい!(笑)

この先の書院で、講和を拝聴しました。
諸行無常、心に沁みました。

琴の調べが会場を盛り上げます

日本文化に出会った諸外国の先生方
興味深々です。

着物の彼女達が彩を添えてくれました。

お庭もライトアップされました。

肝に銘じて頑張ります!







2014年6月5日木曜日
第50回日本肝癌研究会1日目

みなさん、こんにちは
いかがお過ごしですか?

 6月5日木曜日から6月6日金曜日までの2日間、京都国際会議場にて第50回日本肝癌研究会が開催されました。



 当院の関係では、

佐藤新平先生が、「肝癌に対する”無痛RFA”と様々な工夫」 と 「肝外転移に対するRFA」 で、ラジオ波焼灼療法の有用性と安全性を高めるための工夫を報告しました。

石井政嗣先生(慶応大学消化器外科から当院に内地留学中)が、「肝細胞癌術後肝外転移の予測因子検討」 として腫瘍径、AFP、脈管浸潤、腫瘍発育形態の重要性について報告しました。

梶山祐介先生(当院で1年間研修後、現在は帝京大学溝口病院 消化器内科)が、「肝原発内分泌腫瘍にシスプラチン動注を施行した一例」 として、まれな疾患でも諦めないことの大切さを報告しました。

建石良介先生(金曜日の外来担当、東京大学消化器内科がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン・特任講師)が、「本邦の非B非CにおけるNASH/NASH近縁疾患の実態」として、アルコール多飲患者群のなかにもNASH近縁疾患ともいうべき、NASHと同様の集団が存在し、両者合わせると非B非C肝癌の過半数をしめることを報告しました。さらに、「RFA画像」のセッションの座長を担当しました。

午後6時30分からは、”全体懇親会” が開催されました。東大時代の同僚、小池幸宏先生、吉田英雄先生と佐藤隆久先生と合流して楽しみました。


生みの親である熊井英水先生による特別講演「クロマグロ完全養殖32年の軌跡」を拝聴してからの近大マグロは格別です。エラには、卒業証書付き。


入刀はいつもお世話になっている有井滋樹先生と市田隆文先生

アトラクションは、"HCC48" です。
(HepatoCellular Carcinoma 肝細胞がんという意味です)
金屏風前の左端のメンバー。見覚えありませんか?(笑)

盛り上がってます!

HCC48に囲まれて、嬉しそうな工藤正俊先生

盛り上がったあとは先斗町でしっぽり
相手はいつもの隆久先生ですが・・・

川床からの夜景です
           

2014年6月4日水曜日

甲州街道から中山道、東海道を経て京の都へ

みなさん、こんにちは!
いかがお過ごしですか?

 さて明日からは、私たち、肝癌に興味がある医師たちの年一回の祭典である ”日本肝がん研究会” が、京都で開催されます。

3000m級の山に囲まれた甲州から、都を目指すのは、信玄公の時代から今もって大変です。




1. 東京に一旦戻る(甲州街道から東海道)
2. 富士川を下り、駿府から東海道へ
3. 甲州街道から中山道そして東海道へ

新幹線のお蔭で、どのコースで行っても、時間はあまり変わりません。
木曽谷の車窓を優先して③のコースを選択しました。



実は ”乗り鉄” ですからね。

 お昼過ぎに、甲府駅を出発です。先ず、甲州街道沿いに、甲府-韮崎-茅野-上諏訪-塩尻まで、
中央東線 特急あずさ号 です。



滑り出しは順調です。信州に向けて、快調に飛ばしていきます。記録的大雪の中、6時間以上かけて歩いた道のり (小淵沢から茅野間) を、特急あずさは、わずか13分で走破。早っ!

あっという間に塩尻です。

塩尻では、中央東線から中央西線に乗り換えます。今度は、中山道沿いに、塩尻-奈良井-木曽福島-馬篭-中津川-名古屋と進みます。

中央西線は、特急しなの号です。



ワイドビューしなの号です。木曽谷を滑るように駆け下っていきます。




列車の最後方からみたパノラマです。もっとゆっくり走って、ここがオープンデッキだったら、もっと良いと思います。

1日に1本ぐらい、観光列車を企画してくれないかなぁ って、いつも思います。窓が開かないので、車窓が綺麗に撮影できませんが、雰囲気をお伝えしますね。


この写真は奈良井宿 (rail magazineより)です。 山々の谷合に古民家の集落があります。心落ち着く風景が続きます。

 ラウンジカーは、木曽檜をふんだんに使ったシックな内装で出来ています。窓からは木曽谷を渡るマイナスイオンたっぷりの風が心地よく吹き込んできます。甲州と信州には、ワインや地酒、美味しい山の幸があります。それを木曽漆器の器に盛って、自然の移ろいの中を、ゆっくり移動できたら・・・夢の中です。

名古屋からは旅情を完全に剥ぎ取られた新幹線に乗り換えて、あっという間に京都着です。


京都駅では、ほぼ同時刻に甲府駅を出られて、②のコース (身延線経由)を選択された小俣先生とお会いしました。


夕方からは、肝動注療法勉強会(於 メルパルク京都)に参加しました。肝がん研究会の前夜に集まって、勉強会と宴会があります。動注のカテーテルの手技について講演させて頂きました。


講演後、肝癌研究会のオフィシャルな宴に参加させて頂きました。今回の会長は近畿大学の工藤正俊先生です。"近大マグロ" (近畿大学がマグロの完全養殖に成功)が振る舞われました。解体ショーの入刀儀式は、小俣先生。冷凍されていない生マグロを美味しく頂きました。



その後、モリタ屋さん で肝動注療法勉強会のメンバーと合流しました。こちらも宴たけなわ。なんとかお開き前に間に合い義理が果たせました。


モリタ屋さんのアプローチ
京都の風情満点です。

肝動注療法勉強会の宴会
日頃の疲れを癒し、明日への鋭気を養ってくださいね。

梅雨の京都タワー
路が濡れて光が反射して、面白い画になりました。

明日も頑張りましょうね!

2014年6月3日火曜日

新人歓迎会

みなさん、こんにちは。
いかがお過ごしですか?

この4月から、山梨県立中央病院 内科(消化器) に新メンバーが加わりました。

浅川岳士先生 道志村診療所や飯富病院で、実地医療に貢献され、この4月から仲間入り。

原井正太先生 学生時代は野球部、山梨大学病院より、この4月から仲間入り。

これからも、皆で力を合わせて、患者さんの切なる希望を実現するために、心を込めた技術と知識で切らずに直す” をモットーに消化器疾患に挑みます。

どうぞ宜しくお願いします!


宴席の写真ばかりですいません
小尾個人のブログなのでお許し下さいね
僕が呑兵衛ということで・・・



2014年6月2日月曜日

杏雲堂病院 132年 創立記念日

みなさん、こんにちは!
いかがお過ごしですか?

昨日は、杏雲堂病院、132歳の誕生日でした。

時代が変わり、役割が変わり、その都度変革して、今日があると思います。



明治時代の杏雲堂です。真ん中の白い建物が病院ですね。現在は杏雲ビル、画面左上が現在の病院です。




当時の新聞広告です

開設年である1882年は、コッホが結核菌を発見した年、サグラダ・ファミリア教会(スペイン)の建設が始まった年でもあります。

佐々木東洋先生

  開設者の佐々木東洋先生は、江戸は本所生まれ。 佐倉順天堂で佐藤泰然先生、長崎でオランダ人医師ポンペ先生に医学を学んだそうです。 1861年に帰郷後、本所などで開業、その後は東京府病院副院長、博愛舎医師、大学東校病院長などを歴任しました。1877年西南戦争の際は、大阪陸軍病院で軍医としても活躍。1878年、政府が脚気病院を設立する際、洋方医として診療に当たりました。脚気病院閉鎖後、1882年神田駿河台に杏雲堂院を創立しました。

 その後、時代の変遷とともに、当院も132歳を迎えたわけです。時代は変わっても、東洋先生の志である ”医学をもって社会に貢献する” を実践していきたいと思います。

今年も創立記念医学講演会が開催されました。

今後とも宜しくお願いします!






2014年6月1日日曜日

日曜日の朝ラン

みなさん、こんにちは!
いかがお過ごしですか?

体、動かしていますか?

甲陽病院の外来に、元気で通ってくる、お爺ちゃん、お婆ちゃんの特徴は、
出来る範囲で農業をやって、家族と暮らしていること、血圧、コレステロール、糖が正常範囲であることです。

本当は、農作業でもやって体を使うのがベストなんですが・・・

効率ばかり追求せず、もう少し拡散して住まう必要があると思います。自然と住まいと職場が、もっと近接すべきでしょうね。成熟した街では・・・

都会生活では街中ランが最も簡便な運動です。

トロトロ、ランで十分です。有酸素運動が目的ですから。距離やスピードは、一切気にしません。苦しくない程度が大事です。



 今回の日曜日朝ランは、”海へ” を目標としました。

お江戸日本橋から、銀座、築地を経て、お台場に向かいます。


 中央通りでウインドウショッピングしながら、銀座4丁目交差点を東へ。この時間、歩道は貸切、車道を行きかう車もまばらです。


 リニューアル・オープンした歌舞伎座を横目で見ながら、築地を抜けます。日曜日なので市場は静かです。


 勝鬨橋から見た朝日です。今日も日が昇ります。天の恵みに感謝です。朝日を全身で浴びて、寝ている細胞を叩き起こします。すっきり、いい気持ちです。


豊洲埠頭です。左手には、新しい市場と東京オリンピックの施設が出来る予定です。河口と空のをブルーのグラデーションで表現してみました。


 さあ、海はすぐそこです。お台場海浜公園内には、いくつかのジョギングコースが整備されています。国際展示場前がスタート地点。


公園内は紫陽花がすでに満開です。早朝の公園ランの醍醐味ですね。広い公園内は、車両通行止めで、草木も綺麗に植えられています。歩道も整備され、とても走りやすいですよ。


自由の炎 ちょうど朝日を浴びて黄金に輝いていました。日本におけるフランス年を記念して、フランスから送られたモニュメントです。



折り返し地点です。やっと海が目の前です。横には自由の女神が微笑んでいます。


 やっぱり、自由は最高ですね。
公園の中を、もう一走りして、国際展示場駅から電車で帰りました。スイカ1枚あれば、どこからでも帰れるのが都心ランの良いところです。

消費カロリー 1060カロリーでした。