みなさん、こんにちは!
いかがお過ごしですか?
肝臓がんは他のがんと違い大きな特徴があります。
それは、原因がある程度わかっているということです。ちょっと前(10-20年前)まで、肝がん(肝細胞癌)の約80%がC型肝炎由来、10%がB型肝炎由来、そして残る10%が非B非C型肝炎由来でした。
C型肝炎、B型肝炎は、主に血液を介したウイルス感染が原因です。
ですから、まず新たな感染が発生しないように対策をたてました。輸血や血液製剤からの感染を防ぐため、安易に血液を使用しない、使用する場合は、スクリーニングを受けた安全な血液を使うようにしました。注射での感染を防ぐため、回し打ちをやめて1回毎の使い捨てにしました。またB型肝炎はワクチンがありますので、ワクチン接種を行い感染のリスクを減らしました。また母子感染の対策も行いました。
結果として、肝がんは他のがん腫の罹患率(がんを患っている人の率)が急上昇しているにも関わらず、発生を抑止することに成功しました。
2015/04/28 国立がん研究センター発表 2015 各種がん患者数と死亡数の推移
http://www.ncc.go.jp/jp/information/press_release_20150428.html
さらに死亡数を見てみますと、2000年に入ってから他のがん腫の増加を尻目に、減衰に転じています。
そして昨年、ついに”ソフォスブビル”が登場しました。このお薬のお蔭で、長い間人々を患わせたC型肝炎ウイルスは、完全に撲滅される時代が到来しました。ですから肝癌の発生や死亡は、今後さらに減少すると思われます。
肝がんに関わる全ての人々の英知と努力の結果が実を結んだ ということになります。
さて、残る問題は"非B非C型肝炎"です。ウイルス感染が関係しない肝炎が原因でも肝がんは発生します。最近特に増えているのが”メタボ肝がん”です。患者さんは糖尿病外来や街に潜んでいます。ある日突然お腹が張ると訴え、検査をすると進行肝がんだったなんていう患者さんが増えているんです。
なんでメタボで肝がんなのでしょうか?
肝臓はモノを分解したり、作ったり、貯めたりしています。人間の化学工場なんです。私たちが食べた脂や糖は肝臓に備蓄されます。そして、肝臓はこれらの栄養を体内で利用できる形に作り変えています。
中性脂肪が肝臓にたまりすぎた場合、脂肪肝となります。つまりフォアグラ状態ですね。
脂肪肝の患者さんは1000万人ぐらいいるんじゃないかと言われています。
脂肪肝に酸化ストレスがかかると、脂肪肝炎となり、やがて肝硬変や肝がんになってしまう恐れがあります。酸化ストレスってなんでしょう?体内の物質は、電子のやりとりをしています。肥満はこの電子のやりとりを乱すことがあります。すると電子のやり取りに不具合をもつ物質(過酸化物)が作られてしまいます。この過酸化物が、遺伝子を傷つけたり、肝炎を引き起こす原因となるんです。脂肪肝炎の患者さんは100万人ぐらいいるんじゃないかと言われています。
メタボ肝がんを防ぐには、脂肪がたまらないようにするのが得策です。
でも、美味しいものは食べたいし、つらい運動は嫌だし、大変ですよね。
お正月に摂り過ぎたカロリーを、消費しなければなりません。お正月恒例の箱根駅伝。早朝であれば、選手が走る本コースを体験できます。1月2日の早朝に、大手町読売新聞社前から、品川駅前まで、疾走(気持ちは)しました。選手と心は一つです。
みんな、ガンバレ!