いかがお過ごしですか?
9月5日から6日にかけて、第39回リザーバー研究会が開催されました。
リザーバーとは、体内に薬剤を注入する管(カテーテル)の端を皮下に埋め込むための器具の総称です。
薬の行先別に、動注リザーバー、中心静脈リザーバー、腹腔内リザーバーなどがあります。
動注リザーバー 病巣に血液を供給している動脈を使い、高濃度の薬剤を直接投与する治療法が動注化学療法です。
中心静脈リザーバー 中心静脈は、末梢血管に比べ血管が太く、また、大量の血液が流れているため、注入した薬剤により血管壁が刺激を受けにくいという特徴があります。このため、刺激性の強い薬剤や、薬剤の連続的な投与を行う際利用されます。
腹腔リザーバー 腹腔(お腹の中)に直接薬剤を注入し、病巣に対する治療効果を高める治療法が腹腔内化学療法です。
リザーバーに関連する学術集会がリザーバー研究会です。
今年は古都奈良で開催されました。
会場は奈良ホテルでした。創業100年を超える老舗ホテルです。鉄道院が奈良の迎賓館として創業しました。東京駅と同じく辰野金吾氏による設計です。
肝臓がんに対する動注化学療法は、もともと転移性肝がんの治療として発展してきました。しかし、転移性という言葉どおり、大腸がんなどが肝臓に飛んできたために発生する癌です。血液中をうようよ癌細胞が泳いで、その一部が肝臓に漂着して育ったものです。動注化学療法で肝内はコントロールできても、肺やリンパ節に漂着した腫瘍が悪化してしまうため、全身化学療法が第一選択となってきました。
一方、肝細胞癌は肝臓そのものが癌になった病気です。肝細胞癌は比較的、転移しにくい代わりに、肝臓内の血管、特に門脈という大事な血管に直接浸潤します。ですから肝動注化学療法は、むしろ肝細胞癌に有効性が高いと思われます。
昨今、分子標的薬が登場しましたが、肝細胞癌での効果は限られています。効果的で安全な分子標的薬が開発されるまで、動注化学療法のニーズはあると思います。
僕は、”治癒と長生き” を目指す門脈腫瘍浸潤症例に対する動注化学療法 というタイトルで、当科における治療成績を報告しました。
来年のリザーバー研究会は、11月27日金曜日、28日土曜日に東京で開催されます。
僕が、当番世話人を担当させて頂くことになりました。
関係者の皆様、どうぞ宜しくお願いします。
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