皆さん、こんにちは。暑中お見舞い申し上げます。
暑い日が続いていますね。やっぱり、冷夏よりも猛暑のほうが夏らしくていいと思うんですよね。季節ははっきりしているほうが僕は好きです。
一日建物の中で仕事をしていますから、たまに外に出るとその日の天候を楽しむようにしています。ジリジリした暑さ、冷房で閉ざされた毛穴が全開してくるのが感じられ気持ち良いです(でも、もうおじさんですから他人には迷惑か・・)。
御茶ノ水橋の袂、神田川の斜面が小さな雑木林になっていて蝉の大合唱を聞くことが出来ます。ずっと我慢して地上に出てきたセミ達は、わずか一週間しかない残りの生命の中で求愛します。あの鳴き声は雄が雌に自分がここにいますよというメッセージなんです。だからセミも必死に鳴いているんですね。
御茶ノ水橋から見た神田川
いろいろあって更新できなかった分は、徐々に書いていきますね。
7月30日金曜日は、国立がん研究センター中央病院にて、多施設共同の臨床試験について会議がありました。その内容は改めて記事にしますが、分子標的薬を既存の治療法に上乗せして治療効果が更に良くなるか検討する試験です。その後、山梨に向かいました。
山梨県立中央病院のホールにて第3回新肝臓病研究会が開催されました。
前半は、TAE Failureとは?という共通演題で、山梨大学医学部付属病院第一内科の浅川幸子先生、山梨県立中央病院消化器内科の望月仁先生そして私の3人が発表して議論しました。後半は。東京大学椎名秀一朗先生の特別講演という構成でした。
TAE Failure って何?って思いますよね。これは肝動脈塞栓術が効かなくなったと判断した(不応と訳されています)ということです。何をもってTAEが効かなくなったと判断するのか?を議論したわけです。効かなくなったと判断された患者さんは、肝機能が許せば、分子標的薬(ネクサバール)に切り替えます。そのタイミングを模索しているのです。
TAEが効かなくなるのには、大きく二つの原因が考えられます。一つ目は、次々に再発することです。これにはTAEという治療法の問題もあるとは思いますが、母地、つまり肝炎による線維化の方が問題かも知れません。炎症や線維化を改善させなければ再発は防げません。
もう一つは、癌が残存してしまう場合です。これにはTAEに関わる問題と癌自身に原因があります。治療関連としては、癌を養う血管が肝動脈以外から来ている場合と血管が枯れている場合です。TAEはよく兵糧攻めに例えられます。”癌を養う血管が肝動脈以外から来ている場合”というのは、一生懸命兵糧攻めしていても、お城に地下道があって、兵隊を養うのに充分な米や弾薬がドンドン補充されているのと同じです。この地下道を潰さない限り勝ち目はありません。”血管が枯れている”は、兵糧攻めのなれの果て、お互い消耗しているのにわずかな食料でしぶとく生き残っていて落城しない状態です。癌自身の問題としては乏血性腫瘍であったり(兵隊は超小食で兵糧攻めは効かない)、分化度が低く悪性度が高い腫瘍(兵隊がどう猛で兵糧攻めしても暴れている場合)で、TAEでは太刀打ちできないものが考えられます。
どのタイミングで次の治療に託すのか?託された次の治療は、きちんと効いてくれるのか?
もう少し検討が必要だと思います。
このディスカッションは、県立中央病院の中の多目的ホールで行われました。週末のお忙しい中、専門の先生方はもとより、他科の先生方、さらに看護師さんや薬剤師さんなどパラメディカルの方々も多数出席頂きました。大変有意義なひと時を過ごさせて頂きました。この場を借りて感謝申し上げます。
会終了後、近くの居酒屋さんで二次会を行いました。自治医大出身の進藤先生がその時に言っていた言葉です。「例え秋山村に住んでいようが、患者さんは最高の医療が受けられる、その為に僕達は研鑽を積んでいるんです。」と。山梨の医療は、変わります。この若者達が支えてくれます。そして今回の勉強会に参加してくれた医師やパラメディカルの皆さんが力を合わせて支えてくれます。
感激していたら時計が24時を超えました。僕の45回目の誕生日は、この居酒屋さんで迎えました。
最後になりましたが、発表の機会を与えてくれました小俣政男先生、誠にありがとうございました。
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