2011年1月30日日曜日

肝がんの新規治療法に関する研究 第2回班会議

1月12日水曜日


平成22年度厚生労働科学研究費補助金(肝炎等克服緊急対策研究事業)肝がんの新規治療法に関する研究 第2回班会議が行われました。


この研究班は、金沢大学の本多教授が班長で、新規抗がん剤(ソラフェニブやミリプラチン)の治療効果と安全性の調査を行う多施設共同臨床研究と進行肝細胞癌患者に対して、肝動注化学療法とソラフェニブの有効性と安全性を評価する無作為比較多施設共同臨床試験を行うミッションがあります。

これらの結果を踏まえて、肝がん新規抗がん剤の適正使用に関するガイドラインが作成される予定です。

「肝動注化学療法とソラフェニブの有効性と安全性を評価する無作為比較試験」の必要性はソラフェニブが保険収載(認可)される前から指摘してきました。


これまで本邦では進行肝がんの治療として動注化学療法(肝動脈から抗がん剤を注入する治療法)が行われてきました。海外では同様の進行肝がんにはBest Supportive Care(対症療法)が行われてきました。


本当に動注化学療法が進行肝がんに対して有効なのか?これを証明するためには、基準を満たす(がんの大きさや広がり、肝機能)同様の進行肝がん患者を多数集めて無作為に2つのグループに分けて、片方は動注化学療法を施行して、もう片方は対症療法を行い、どちらが有効(長生き)だったかを比較検討する必要があります。






どうでしょう?


片方が治療、もう片方が無治療であった場合、試験に参加しますか?


日本は世界一医療に恵まれています。基本的には誰もがベストの医療を受けられる制度があります。
一方海外ではどうでしょう。例え治療が行われる確率が半分でも医療が受けられるのであれば試験に参加したい(医療費が払えない)人がいるのです。


今まで動注化学療法の無作為比較試験が行われなかったのは、本邦において参加者が募れないと思われたからです。
一方ソラフェニブは、BSC群と無作為比較試験を行い、生命予後が約3か月改善出来ることが証明された薬剤です。これでやっと比較出来る相手が現れたのです。




一人横綱の白鵬と同じで、対戦相手をずっと待っていたのです。私たちはこの日のために準備し2009年より動注とソラフェニブの無作為比較試験を開始しています。


同様の試験が本研究班や近畿大学の研究班でも行われています。船頭多くして船山に登るとならないように頑張ります。

今回の班会議では、門脈浸潤を伴う進行肝がんにおけるインターフェロン併用5FU動注化学療法とソラフェニブの無作為比較試験について発表しました。

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