寒い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか?
特に日本海側にお住まいの皆様、記録的な豪雪で大変だと思います。
本日、山形から来院された患者さんも「半端じゃないよ!今年の雪はすごいよ」 と仰っていました。
そこで、”白いダイヤモンド” のお話です。
メディアによると、広西チワン族自治区(中国南部、ベトナムとの国境の町です)を流れる竜江で基準値を超える毒性物質の カドミウム が検出され、飲料水の安全が脅かされているそうです。
写真は竜江で、水質調査のサンプルを採取しているところ。こんなに広く水量の多い河です。
この水量で基準値を超えたカドミウム?いったい、どの位の量が流出していたのでしょう??
宜州市のダム湖で魚が大量に死んでいるのが発見され、調査の結果、汚染源が河池市にある広西金河鉱業とわかり、操業停止の措置がとられた。当局は、中和剤を河にまき住民に安全宣言をしたと。
カドミウムは、元素記号48番の金属元素です。日本では、神岡鉱山の精錬に伴う廃水により、富山県神通川流域の イタイイタイ病 (1910年から70年頃まで大発生)で有名です。
水系を通じて下流の水田土壌に流入・堆積し、農作物(特に米)や水を介して人体に蓄積します。
竜江河周辺の水田と水路です。無事を祈ります。
カドミウムは、人体に蓄積すると、腎臓の尿細管機能異常をきたします。
腎臓は、ご存知のように人体のこし器です。不要なものは捨てて、必要なものを再吸収しているんです。カドミウムはここを壊してしまう。だから腎臓が笊(ザル)になっちゃうんですね。
初期症状は、腎臓がザルになっちゃうので、多尿、口渇、多飲なんです。
腎臓で、カルシウムの再吸収が出来ないため、血中のカルシウム濃度が低下します。筋肉が異常収縮して痙攣を起こしたり知覚過敏になります。人体は骨を溶かして、何とか血液中のカルシウム濃度を維持しようとしますが、ザルからもれっぱなしなので、どんどん悪化します。
やがて骨が溶けて、スカスカ、ボロボロになってしまいます。骨粗しょう症の酷い状態と思ってください。骨、特に関節をやられ、変形し非常に痛い。自分の重みで骨折(病的骨折といいます)する。もともと骨がもろい、多産の高齢女性に患者が集中しました。
来る日も来る日も 「痛いよ・・痛いよ・・」 って言って。最終的には、寝たきりで衰弱し多くの方が亡くなりました。医者として最も無力感を感じるときです。何とかならないのか・・・
イタイイタイ病の患者さんを診察する萩野昇先生
患者さんがほぼ全員、稲作などの農作業に長期に渡って従事していた農民であったため、風土病とかで、悲しいことに偏見や差別がそうです。
そこを地元の萩野病院 萩野昇先生 が、目の前で原因不明の病で苦しむ患者さんの診療をしながら、原因を究明したんです。
1961年日本整形外科学会で、鉱山のカドミウムが原因と発表しました。萩野先生、僕と同じ46歳のときです。(萩野先生については、ドラマがあるのですが詳細はこちらで)
話を現在の中国に戻します。続きはまた今度ね。
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