いかがお過ごしですか?
先日、現在西アフリカで猛威を振るっているエボラ出血熱ウイルスについて、お話しました。
アメリカに帰還した患者さん(人道的支援で現地に飛び込んだアメリカ人医師が感染)にまつわる、アメリカの世論とそれに対峙するエモリー大学の総婦長のコメント、それを掲載したWashington Post の公平な姿勢を紹介します。
どっかのアジアの小国(残念ながら日本のことですが・・・)この愛国心も含めて学びたいものです。これぞ、大人の対応です。
僕も見習いたいです。
前置きはさておき紹介しますね。全文は こちら を参照して下さいね。
エモリー大学病院はアメリカでもトップクラスの医療を行っている病院で、特に感染症ではアメリカ随一です。
致死率の高いエボラ出血熱に感染したアメリカ人医師二人が本国に治療のため帰還しました。アメリカ世論の大勢は「そんな患者を帰還させて私たちに感染したらどうするんだ」 って意見です。
その世論に対して、その重症患者を収容したエモリー大学のヘッドナース(総婦長)のお言葉(一喝)です。
説得力と使命感!
素晴らしいの一言です。世間は黙ってしまいました。さすが総婦長!
以下、ワシントンポストに掲載された文章の和訳(翻訳 小尾俊太郎 なので、原文をみてくださいね)です。
Susan Mitchell Grant エモリー大学病院 総婦長
I’m the head nurse at Emory. This is why we
wanted to bring the Ebola patients to the U.S.
These patients will benefit -- not threaten
– the country.
この患者さん達をケアすることは、米国にとって脅威ではなく、有意義なことです
8月5日火曜日、致死率の高いエボラウイルスに感染した2例目のアメリカ人が8月2日の1例目に続いてアフリカからエモリー大学病院に到着しました。
そして二人は過熱気味の報道や人々の不安の渦中、特別隔離病棟に入院して、高度な専門トレーニングを積んだ医師や看護師によって治療を受けています。
人々は、エボラウイルスが米国本土に拡がらないのか心配だとSNSで感情的に訴えています。
これらの恐怖は、風評とか、エボラウイルスの知識や私たちエモリー大学病院の安全に対する取り組みなどが、残念ながら、充分に一般の人々に伝わらないために起きていることと思われます。
エモリー大学病院では、このような危険度の高い感染症に対応できる特別隔離病棟と感染症に対する戦略と対処方法について十分に研鑽したスタッフがいます。
しかしさらに残念なことは、人々の不安が米国医療の基本的な使命を見失っていることです。
病院の使命とは何でしょう?病める人を助けること、そして人々の健康に対して卓越した知識を持つことではないでしょうか。
エモリー大学病院では、質に高い教育や研究そして献身的な奉仕を、常に我々の行動規範としていますが、今回のような事例の対処においても同様です。
さらに我々米国民は、今回の患者さんを治療することによって得た知識によって、さまざまな国益が得られます。
エボラ問題は、ことエモリー大学病院における患者さんの治療に留まりません。これらの経験から得る見識は、将来我々が直面するであろう緊急事態(致死的感染症)への備えになります。
また私たちは、エボラの治療における新しい治験を、世界に人々に教えることが出来ます。
この病原は私たちが暮らしている地球全体の問題なんです。もしこれらの致死的疾患を水際で防ぎたければ、私たちは世界規模で治療や研究に貢献しなければなりません。
今や病気は一つの町や国さらに大陸にも留まらないのです。世界全体に広がる恐れがあるのです。
今回、私たちエモリー大学病院が、エボラ出血熱ウイルス感染者を収容したことで、最も重要なことは、私たちは正しいことを行ったということです。
感染した患者さん(現地で奮闘した医師)は、特に致死的なエボラ出血熱の蔓延を防ぐための人道的支援の一環として、保健衛生のインフラの無いアフリカの国々に快く飛び込んでいきました。
彼らは、私たちと同様に献身的に医療に尽したのです。
このような人達の治療を拒否すれば、私たちのプロ意識の倫理基準において、大きな禍根を残すことになったでしょう。
彼らの治療が効果的に安全的に行うことが出来るのであれば、人道的に尽して、結果としてエボラ出血熱に罹患してしまった彼らには、母国に戻って治療を受ける権利があると思います。
さらに、ヘルスケアの専門家として、この問題に対処することは私たち自身の研鑽になります。
「どうしてこのようなハイリスクの患者さんのケアを選んで行うのですか?」 とよく聞かれます。
私たちは、どうしてこの職業を選んだのでしょう? そうです。救いを求めている病める人達を救いたいからです。と答えています。
多くの人々がこの二人の患者さんの治療に献身的に従事しています。今回少なくとも二人の感染症のエキスパートナースが休暇期間を返上して治療にあたっています。
いつか、このようなケースに遭遇しても、患者さんを安全に助け癒すことが出来る知識を得ることによって、彼女たちは満足が得られるのです。
また彼女たちは、助けた患者さんやご家族から感謝を得ることが出来るのです。
人は誰もが、病めるとき、より良い治療を受けることを、望んでいると思います。
私たちは、自分たちの行動を、誤解や恐怖そして自己主義に基づいて導くことも出来れば、自分たちの行動を、知識や科学そして思いやりに基づいて導くこともできます。
We can fear, or we can care.
私たちはただ恐れることも出来ますが、私たちはケアすることも出来るんです。
どうぞご理解下さい。
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