2010年10月18日月曜日

ILCA その3 -Silent tribute-



9月11日土曜日 ILCAは、昨日から開催中です。演題は、細胞内シグナル伝達系とそれらに対する分子標的約の開発と臨床試験のオンパレードです。



 がん細胞は、増殖や分化(細胞の成熟度のこと、一般に成熟しているほうが正常細胞に近く性質が良い。反対に未成熟だと正常の細胞からかけ離れ性質が悪い)を繰り返し成長していきます。

 この細胞の増殖や分化は、細胞内の分子が次から次へリレーのバトンを渡すようにして情報が伝達され、最終的に核という総司令部に届き運命が決定されます。この経路をシグナル伝達系といいます。

 この伝達系は、いくつもあるのですが、リレーのバトン(分子)を遮断して細胞の増殖を抑えたり、細胞を死に至らせる、これが分子標的薬(バトンを狙い落とす)です。

 従来の細胞を毒で傷害させる抗がん剤とは異なる、理論的裏付けがしっかりした新しいタイプの抗がん剤なんです。世界の巨大製薬会社が開発に凌ぎを削っているので、学会でもホットな討論が繰り広げられているのです。

 ただし開発には巨額の投資が必要なため結果として分子標的薬は驚くような高価な薬となってしまうのが残念なところです。

 しかし、人類の英知を集め研究が進んで、癌が撲滅される時代が近づいています。分子標的薬の登場は、歴史に残る節目であることは間違いなく、その現場にいられる幸せと緊張感に包まれた学会です。


学会開始前の会場 これからこの場で熱い討論が行われます。


 ステージと演題です。僕の出番は明日です。従来の抗がん剤(5FU)を使った治療は、原始人の治療だと、他の研究者が、マンモスを追う原始人のイラストをスライドにして熱弁していました。副作用の少ないIFN+5FU動注をどこまで、ここでアピールできるか?試練です。

 学会1日目が終わり、10人ぐらいで地元に留学している方の紹介でイタリアンレストランに入りました。お店は学会上から徒歩10分ぐらいにあるIl Campari Centro' です。お店の雰囲気もよく料理も美味しかったです。やっぱり大人数で食べると、会話も弾むし楽しいですよね。

 ホテルに戻ると、今日が September 11thであることに気付きました。アメリカ同時多発テロから9年が経ちました。どのチャンネルも特集番組を放映していました。原因は何であれ、暴力では物事は決して解決しません。過去の歴史が教示しています。憎しみの連鎖にしかなりません。

 本来、人々を救うはずの神々(宗教)のために、生身の人間が傷つけあう、あまりにも愚かです。テロの報復で、イラク、アフガニスタンで争いが絶えません。”決して暴力は解決策になりません”世界で唯一の被爆国(テロと戦争の違いはあっても広島24万人、長崎14万人が亡くなっています)として、全ての暴力の愚かさを、世に訴えていくべきです。

 1969年6月、平和を訴えたパフォーマンスが、ここ、モントリオールのクイーンエリザベスホテル(フェアモントホテル)で行われました。"John and Yoko's bed-in"です。

 奇しくも、9月11日の夜、クイーンエリザベスホテルに宿泊しながら平和について考えることが出来て幸せです。John の言葉です。War is Over! (If you want it!)

戦いの犠牲になった全ての人々に黙とう

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