いかがお過ごしですか?
6月7日土曜日から6月8日日曜日までの2日間、京都国際会議場にて4th International Kyoto Liver Cancer Symposium (IKLS) が開催されました。
6月7日土曜日は、
Poster session. treatment 6 の座長を、韓国の Guohong Han 先生とともに務めさせていただきました。
6月8日日曜日は、
Session IX : How to manage advanced HCC with vascular invasion ?
脈管浸潤を伴った進行肝細胞がんの治療法について議論するセッションで発表させて頂きました。
肝臓の脈管には、血管系として動脈(きれいな血が供給される)、静脈(汚れた血が返却される)、そして門脈があります。さらに肝臓の下水(胆汁)道である胆管があります。
門脈という聞き慣れない血管、これは腸からの栄養分を肝臓に送り届ける重要な役割をしています。肝臓の根元では親指の太さぐらいある血管です。
肝臓がんが進行すると、脈管、特に門脈に高率に浸潤します。
門脈に腫瘍が浸潤すると、①肝内門脈流の減少②肝外門脈圧の上昇③門脈を介して癌の肝内散布が起こります。
門脈は肝臓に向かって流れています。そのため門脈が腫瘍で詰まってしまうと、肝臓には栄養を満載した門脈血が流れてきません。ただでも草臥れている工場に材料が来ないので、工場は生産能力が落ちますよね?これが肝不全の原因です。
門脈はとても太い血管で血流も豊富です。この血管が腫瘍で詰まって堰き止められたらどうなるでしょう?血流は行き場所を失って、迂回します。迂回路として狙われるのが食道静脈や胃静脈です。そもそも食道や胃の静脈は、大量の血液が流れるように設計されていませんので、圧に耐え切れなくなり、血管にコブができます。さらに圧がかかると破裂します。これが静脈瘤破裂ですね。
さらに門脈に入り込んだ腫瘍は、門脈流に乗って全肝に散布されます。以上の理由で門脈腫瘍浸潤は厄介なんです。
様々な治療法がありますが、無治療と比較して有意に生存期間の延長が証明されているのはソラフェニブ(ネクサバール)だけです。
動注化学療法を含め他の様々な治療法は、無治療と比較して来なかったのです。もちろんやっている私たちは効果があると思っているのですが証明しないと理解してもらえません(結果が良ければ良いとも思いますが・・・)。今までは、無治療との比較だったので困難だったのです。
もしあなたが患者さんだった場合、「新しい治療法がありますが有効性はわかりません。片方は無治療、片方は新規治療法です。どちらをやるかはくじ引きです。」で、やりますか?
でもこれが本筋なんですね。「何とかしたい、無治療より良さそうだ」で、治療して来てきたのが今までの日本の現状です。それなりに結果もついてきているので、余計に証明が必要なんです。ですから現在”ソラフェニブとソラフェニブ+動注化学療法の比較試験”が行われています。
本シンポジウムでは、動注化学療法のエビデンス構築の重要性(自分への戒めとして)と当院で治療してきた動注化学療法の成績を報告しました。
拙い英語でしたが、聴衆の笑いを2回とれたことは、満足しています。
動注に拘っているわけではありませんので、少しでも患者さんが良い状態で長生きしてもらえるよう頑張りたいと思います。
最後まで参加していたら記念撮影に入れて頂きました。
夜の帳が下りはじめた今日の街並み
古代と近代の塔
レセプションで日本文化と出会いました。
僕の知識としては外人レベル。
美しい日本文化を守らないとね(笑)
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