みなさん、こんにちは。
いかがお過ごしですか?
京都での研究会も終わり、通常業務に戻っています。
目の前の患者さんを診ながら、研究会を振り返ります。
そして、いつも思うのが、「本当にそれでいいのか?」 という思いです。
どいうことか? 説明しますね。
日本の肝がん患者さんの予後は、欧米の2倍以上です。もうその時点で、日本の診療システムの方が優れていると思うのですが、”エビデンスがない” と言って認めようとしないないんですね。
「生存期間が長いのは、まだ癌かどうかわからないうちから治療しているからではないんですか?」
ウイルス肝炎患者さんを囲い込み、定期的スクリーニングを丹念に行っているから、早く見つかるんです。
すると今度は「コストパフォーマンスが悪いからそのようなスクリーニングは成り立ちません」と言い出します。
「そのスクリーニング法、治療法には、エビデンスが無い」。
自身がさして患者さんを診たことがない、治療したこともない、(製薬会社お抱えの?)研究デザイン屋さんにはわかないでしょうね。
スクリーニングや治療は、”熱意” でナンボでも変わるということが。
例えば欧米で行われている塞栓術と本邦の塞栓術は、別物と思えるぐらい違います。
それがバイアスなら、いいじゃないバイアスで。医師の診たては、バイアスなんです。本当に無作為なら患者さんに病気のステージと身長と体重を入力してもらってアマゾンで薬を買っていただけば良いのです。
無作為比較試験はもちろん大切です。決して否定はしていません。動注化学療法の正当性を証明することの大切さは昨日書きました。ただし無作為比較試験の結果だけで実臨床が決まるわけではないと言いたいのです。
今まで肝癌患者さんの生存を支えていた塞栓術を、早々に切り上げてソラフェニブに切り替えるべきだとか、決めつけるのが乱暴だと言っているのです。
患者さんの病状(腫瘍や肝機能)、合併症、家庭環境、患者さん自身の気持ちなど、相談しながら総合的に判断(これをバイアスというならバイアスです)して治療は決まっていきます。なかなか杓子定規的には決まらないのが現実ですね。
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