2014年6月12日木曜日

造影剤アレルギー

みなさん、こんにちは!
いかがお過ごしですか?

 先日、痛ましい報道がありました。

 高熱で先月下旬より常滑市民病院に入院していた6歳の女の子が、今月3日に造影剤によるアナフィラキシー・ショックの疑いで(正確には調査中)お亡くなりになりました。

お亡くなりになった患者さんをはじめ、ご家族や関係者の皆様に、お悔み申し上げます。

 アナフィラキシー・ショックとは、アレルギー反応のひとつです。アナ(反抗)フィラキシー(防御)、つまり激しく過敏反応が起こってしまう状態です。


免疫を担当するマスト細胞

 免疫を担当するマスト細胞から、一斉にヒスタミンという化学伝達物質が放出されます。このヒスタミンは、末梢の血管を拡張するとともに、末梢の気管支を強力に収縮させます。

結果として、急激な血圧低下、呼吸困難、意識消失となり、命を奪うこともあるのです。

 私自身、研修医時代に一度、杏雲堂病院で一度、造影剤によるアナフィラキシー・ショックに遭遇しました。幸い何とか救命できましたが、マニュアルどおりにやっても救える場合と救えない場合があると思います。

 アナフィラキシー・ショックは、日常生活でも遭遇します。代表的な例は、食物アレルギーやハチ刺されです。私の父も、ハチに刺された後、様子が変だということで甲陽病院に運ばれました。たまたま私が外来を担当していたので事なきを得ましたが、家で放置していたら・・・です。


 CTなどで普段使用している ”非イオン系造影剤” での副作用報告は、3.13% (5276例/168363例), 中でも呼吸困難、急激な血圧低下、心停止、重篤な副作用の発生頻度は、0.04% (70例/168363例)でした。

予防法と注意点ですが、

 過去の検査で、蕁麻疹や悪心嘔吐、咳や呼吸苦など、何らかの副作用があった場合は、造影剤は使えません。二度目はとても激しく症状が出現します。

 検査中、蕁麻疹や悪心嘔吐、胸が苦しくなったり、咳が出た場合、すぐに申し出てください。検査を即座に中止します。

 検査後、数時間から数日経ってからも(遅発性)、蕁麻疹や悪心嘔吐、胸が苦しくなったり、咳が出たりすることがあります。担当医にすぐ連絡するか、最寄りの救急病院を受診してください。

 私たちも、その検査が本当に必要なのか?再考します。
医療に限りませんが、利益と不利益のバランスを常に考えるスタンスが大切ですね。



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