いかがお過ごしですか?
先日、痛ましい報道がありました。
高熱で先月下旬より常滑市民病院に入院していた6歳の女の子が、今月3日に造影剤によるアナフィラキシー・ショックの疑いで(正確には調査中)お亡くなりになりました。
お亡くなりになった患者さんをはじめ、ご家族や関係者の皆様に、お悔み申し上げます。
アナフィラキシー・ショックとは、アレルギー反応のひとつです。アナ(反抗)フィラキシー(防御)、つまり激しく過敏反応が起こってしまう状態です。
免疫を担当するマスト細胞
免疫を担当するマスト細胞から、一斉にヒスタミンという化学伝達物質が放出されます。このヒスタミンは、末梢の血管を拡張するとともに、末梢の気管支を強力に収縮させます。
結果として、急激な血圧低下、呼吸困難、意識消失となり、命を奪うこともあるのです。
アナフィラキシー・ショックは、日常生活でも遭遇します。代表的な例は、食物アレルギーやハチ刺されです。私の父も、ハチに刺された後、様子が変だということで甲陽病院に運ばれました。たまたま私が外来を担当していたので事なきを得ましたが、家で放置していたら・・・です。
CTなどで普段使用している ”非イオン系造影剤” での副作用報告は、3.13% (5276例/168363例), 中でも呼吸困難、急激な血圧低下、心停止、重篤な副作用の発生頻度は、0.04% (70例/168363例)でした。
予防法と注意点ですが、
過去の検査で、蕁麻疹や悪心嘔吐、咳や呼吸苦など、何らかの副作用があった場合は、造影剤は使えません。二度目はとても激しく症状が出現します。
検査中、蕁麻疹や悪心嘔吐、胸が苦しくなったり、咳が出た場合、すぐに申し出てください。検査を即座に中止します。
検査後、数時間から数日経ってからも(遅発性)、蕁麻疹や悪心嘔吐、胸が苦しくなったり、咳が出たりすることがあります。担当医にすぐ連絡するか、最寄りの救急病院を受診してください。
私たちも、その検査が本当に必要なのか?再考します。
医療に限りませんが、利益と不利益のバランスを常に考えるスタンスが大切ですね。
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