第39回日本Interventional Radiology学会総会が浅草ビューホテルで開催(5月20日から22日まで)されました。2日目の報告です。
「塞栓物質の最前線」では、国立がん研究センター病院から球状塞栓物質(Beads ビーズ)の臨床試験の一部が紹介されました。
従来、肝動脈塞栓術はゼルフォーム(ゼラチン由来で肌理(きめ)の細かいスポンジ状の物質)を、各施設で工夫して塞栓に用いていました。ある意味、施設によってまちまちで、メスを用いて細かく切ったり、摺り鉦(すりがね)でおろしたり、当科では少量の造影剤と注射器を使って混和し微細粒子にしていますが、とにかくhomemade(自家製)なんです。
最近ジェルパートという規格品が登場しましたが、海外で新たな球状塞栓物質(ビーズと呼びます)が開発され簡便(手を加えなくてよい)なため海外では瞬く間に普及しました。
日本では現在臨床試験中で近い将来、臨床の場に登場すると思われます。ビーズには各種サイズが取り揃えられていて腫瘍の栄養動脈のサイズに合わせて塞栓することが出来ます。
今回の学会では、ビーズの臨床試験で実際に治療した患者さんの血管造影画像が提示されました。従来のリピオドールとゼルフォームの組み合わせと比較して、塞栓能力も優れ、手前の血管(正常な肝動脈)へのダメージも少なさそうでした。いわば必要なところだけ塞栓出来るというイメージです。
さらに度重なる従来の塞栓術で肝動脈が狭小化した患者さんでも腫瘍の栄養動脈だけ塞栓されていたのには驚きました。このような患者さんに、リピオドール+ゼルフォームで塞栓を試みると手前の狭小化した正常な肝動脈が詰まるだけで肝心の腫瘍栄養動脈まで届かなかったりします。
近い将来、日本でもビーズが使えるようになり更に研究が進むと思いますが、ビーズはリピオドール+ゼルフォームに取って代わる塞栓物質になると思われました。
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