第46回日本肝臓学会総会が山形市で開催されました。
当科からは、私と佐藤隆久先生が参加しました。演題は「進行肝細胞癌におけるソラフェニブに関する多施設調査研究」として、千葉大学消化器内科と共同研究した成果を発表しました(発表者は千葉大小笠原定久先生です)。
ソラフェニブが本邦で使用可能となって、初めての肝臓学会総会です。いくつかの施設から使用経験のデータが発表されました。共通項として副作用が特殊(手足皮膚反応を始め皮疹、高血圧、下痢、倦怠感など)でそのマネージメントが大切であること。副作用を上手にコントロールして内服を継続すると効果が期待できることなどです。
私達の多施設共同研究は最も対象症例が多い検討(50例)です。やはりある程度の数を集めないと統計のばらつきがあり正しい解析が出来ません。今回の私どもの検討は、Asia-Pacificで行われた大規模な無作為比較試験とほぼ同等の結果が得られました。Overall survival 6.9ヶ月(Asian-Pacific 6.5ヶ月), Time to Progression 3.0ヶ月(同2.8ヶ月), Disease Control Rate 37%(同35%)でした。
ランチョンセミナーでネクサバールの副作用マネージメントの講演(講師 国立がん研究センター中央病院皮膚科医長山崎直也先生)を聴きました。やはり副作用で抗がん剤が服用できず腫瘍が進展するのは極力避けたいです。副作用対策が分子標的薬の使いこなすスキルになると思われました。
午後は動注化学療法のセッションを司会させて頂きました。動注化学療法は劇的に奏功する症例が少なからず存在し、当然その予後は良好です。一方でまったく奏功が得られない症例もあります。出来るだけ早く奏功を見分け、効かない症例は、ソラフェニブに切り替えるのがよさそうという方向でした。しかし動注の有効性を証明するためには、まず分子標的薬と動注の無作為比較試験が必要です。大変ですがこの比較試験を当院で進めているところです。
その他、肝炎や画像診断などのセッションでも勉強させて頂きました。肝臓という大きなテーマの下、全国から集まった先生方と開放的に議論が出来る場です。これが学会の醍醐味だと思います。
夕方5時に終了ですので、隆久先生と山形まるごと館紅の倉の中にある蕎麦屋さん「紅山水」に行きました。この建物は昔の紅花問屋を改築した味わいのある建物です。
その後、東京大学消化器内科25研と関連施設の先生方で反省会をばんだいというお店で行いました。充実した一日でした。
5月28日金曜日
早朝、ジョギング(再びお城にある済生館本館まで往復)して、6時22分始発の新幹線で帰京しました。これから杏雲堂の外来と病棟です。
本日の走行距離2.8km、走行時間30分、時速6.7km/hr、消費カロリー243キロカロリーでした。ただし昨晩の摂取カロリーの方がはるかに高いです。