2014年5月15日木曜日

C型慢性肝炎と発がん (3)

みなさん、こんにちは。
いかがお過ごしですか?

C型慢性肝炎と肝がんの続きです。

 C型慢性肝炎で最も大切なことは、発がんのリスク算定に基づいて治療戦略を立てていく ことです。

 例えば、ケイコ(軽子)さん70歳で一段目だったとします。

 (女性に多いのですが、感染して時間が経過していても、アルコールの影響もなく、閉経までは、鉄欠乏状態なので、肝炎が沈静化していた結果、線維化が進んでいない患者さんが少なからずいます。)

 85歳まで生きたとして、残りの人生あと15年。一段階目の発がん率は年率0.5%以下ですから、
 生涯発がん率=年率0.5%以下x15年
          =7.5%以下 となります。
生涯発がん率は、わずかに10%以下なので、無理(身体的、経済的負担)して、ウイルス駆除を行う必要がないということになります。

ところが、シゲオ(重男)さん70歳で三段階目だったとします。
同じく残りの人生あと15年と設定します。三段階目の発がん率は年率3%ですから、
生涯発がん率=年率3%x15年
         =45% となります。
さらに10年で一段階上がるので、もう少し発がん率は上がると判断します。
だから、シゲオさんは、ウイルス駆除を検討するということになります。

 このように、一見、同じように見えるC型慢性肝炎でも、炎症の結果である肝臓の硬さによって、発がんへの道のりが全く違うこと、発がんのリスクに応じて、治療戦略をたてることが必要なのです。

 放置しておくのは最も危険です。きちんと診てもらうことが大切ですよ。

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