2011年12月31日土曜日

ゆく年くる年

平成23年12月31日

ゆく年くる年

今年も最後の日となりました。そして新しい年を迎えます。

 故郷に帰り、年末恒例、NHKの”ゆく年くる年”を見るのが大好きです。
でも飲みすぎて・・夢の中で・・・見れないことが多いんですけどね。

 比叡山や永平寺を中継してくれます。深々と冷え込み、音もなく雪が降っていて・・・・

新しい年を迎える厳かな気持ちに浸れます。


 写真は雪の永平寺です。今年は、震災があり大変な一年でした。しかし震災は、私たちが失いかけていた”何か”を教えてくれました。

 起きてしまったことは、起きてしまったこと。戻すことは出来ません。さらにプレートの重なり合う頂点(日本列島)に住んでいる日本人に地震は避けられません。これを教訓に備えること、そして復活すること。その過程に明るい明日の活力があります。

 日本の底力を信じています。

 皆で明るい明日を築きましょう。大晦日、除夜の鐘が遠くで鳴っています。僕の心の煩悩が、また一つ消えていきます。心の大掃除もバッチリです。

 皆様、よいお年をお迎えください。

2011年12月28日水曜日

支え合い

12月27日火曜日


山梨県北杜市立甲陽病院の、2011年最後の外来が終わりました。

火曜日の一般内科外来が閉鎖の危機にあったため、急遽、4月からお手伝いすることになり早、9か月が経過しました。

ご高齢で歩くのがやっと、さらに幾つかの内科的疾患を抱え、老夫婦二人暮らし、もしくは一人暮らしという患者さんたちを診させていただきました。

「(病院の)循環バスの、バス停に行くのも苦労(しんどい)だよ」

と、ある患者さんがこぼしていました。

甲陽病院の外来は、いろいろ考えさせられます。

人は必ず歳をとり、やがて亡くなります。体が動く若いうちは何とかなります。でもいつの日か、人は必ず歳をとり、体が思うように動かなくなります。

動物は群れを外れ孤独に死んでいきます。でも人には英知があるはずです。

以前は良い意味での家制度があり、例え貧しくても家族で支え合い生きてきました。

自由主義も度が過ぎると個人主義になり、結果として人間は孤独になります。若いうちの孤独は、まだ耐えられます。しかし歳を重ね体が不自由となった時の孤独は辛いです。

資本主義の弊害で、金銭や華美な暮らしの追及に走った結果、農村に取り残された孤独な高齢者を、今、僕は目の当たりにしています。

人として何が大切なのか?

真の意味での美しい生活は“支え合い”だと思います。

不慣れな総合内科外来ですが、いろいろ教えてくれる高齢の患者さん達に、少しでもお役にたてるよう努力したいと思います。

病院の屋上は、疲れた心を癒してくれます。今日の山達です。南には富士山(屏風絵のような雲が懸かっていました)、西には甲斐駒ケ岳(最も好きな山です)、北には八ヶ岳(この時期は八ヶ岳下ろしが吹きとても寒いです)が見えます。

僕の心の中に住むドラゴンを、これら雄大な山のように大きく育てたいと思います。

                  富士山

                 甲斐駒ヶ岳

                    八ヶ岳

2011年12月8日木曜日

学生実習

12月7日 水曜日

 皆さん、こんにちは。

今日は、東京大学の学生実習を担当しました。

 年に3、4回、3名の学生さんが校外実習に来ます。せっかく実習に来てもらうのですから、”何か役立つように”と、いつも考えるのですが・・・

 大学と同じことをやっても、興味をもってもらえません。スライドを使って、概略を説明してから病棟を診て、実際の治療を見学してもらおうと思いましたが、難しいですね。僕自身、学生実習がどうだったか?やっぱり、その場に興味が湧かなければ、退屈でしたからね。でも、これも通らなければならない道だと観念して(そこまで大袈裟ではありませんが)、実習に参加していました。

 立場が逆転して、いざ自分が教える側に立つと、教える苦労が良くわかります。ポーカーフェイスの学生さん(今回という訳ではありません)を見ると、「つまらないぞ!」と言ってるみたいです。今回、スライドを使って、概略を説明するのはダメだと骨身にしみました。会議室の空調が悪く暑かった、昼食後であった、いいえ、興味を引き出せなかったのです。全員睡魔に襲われていました。完敗です。
 学生さん、せっかく来てくれたのにごめんなさいね。

 大学に無くて、当院にあること。

 やはり、”進行がんの治療”、これしかありません。

 次回は、病棟で患者さんに協力してもらい、一人の患者さんの”生き様”を、学んでもらいましょう。生い立ちから家族的・社会的背景、そして病歴から治療歴、そして現在行われている治療がどうか?
ケース・バイ・ケースで全ての患者さんが違います。患者さんが、病気をどのように受け止め、どのように戦っているのか、どのような葛藤があるのか?

 教えることは難しいでしょう。僕らも全て解かってやっている訳ではないから。でも誰かが若い人たちに少しでも伝えなければいけないから。

 頑張るしかないですね。


2011年11月23日水曜日

お参り

11月13日 日曜日

昨晩のカロリーオーバー分を取り戻さなきゃね。
高松でのジョギングは、サンポート高松(高松港)にある、玉藻防波堤です。
瀬戸内海に突き出すように存在する防波堤を走ると、海風に包まれ、あたかも海面を走っているような錯覚が醍醐味のジョギングコースです。高松に来れば、(香川大学の非常勤講師で来る時も)必ず、ここでジョギングです。
携帯を忘れてきてしまったので、写真は拝借したものです。防波堤の先端には、世界初のガラスでできている”赤灯台”があります。

玉藻防波堤の早朝は、魚釣りの人々(小学生から家族連れ、老人まで)や、お散歩をする人、体操をする人、ベンチに座って語らう人、ボランティアでごみを拾う人など、皆、思い思いに休日の朝を過ごしています。東の空には、今、顔を出したばかりの太陽が、僕たちの営みを包み込むように輝いています。
ここでジョギングをしながら、いつも感じること。それは、高松の人々が趣味を生かして充実して生きていることを実感することです。この堤防が、市民のオアシスとなっているんですね。これらの趣味にはお金がかかりませんよね。堅実な生活が結果として心の豊かさを育むのでしょうね。

さて、帰りの飛行機まで少し間がありますので、早回り高松観光です。まずは、尾島寺(84番札所)です。急な山道を登った山頂に存在します。ちょうどお遍路さん一行がお経を唱えていたので、その後ろから便乗して、室町時代に再建されたご本堂に、皆様の健康を祈願してきました。

お寺の裏からは、高松市内が一望できます。名物の瓦投げ(厄除けのご利益があると)も、してきました。

お次はこんぴらさん、こと金刀比羅宮です。
こちらも山の中腹(山頂?と思えるぐらい)にあります。急な階段を登らないとご利益が・・・・
でも、登れど登れど目の前が階段です。参道の雰囲気のある建物と階段(これはまだ序の口)、旭社(途中)まで行ったところで時間切れ。ここで健康祈願し一路空港へ急ぎ足で戻りました。




結局、空港でうどんを食べることになってしまいました。うどん巡りは次回への課題ということで。

2011年11月14日月曜日

讃岐で講演してきました。

「第56回香川肝腫瘍カンファレンス」が、11月12日土曜日に開催されました。香川県立中央病院や高松赤十字病院を中心とした肝臓がんを治療しているコアな仲間と予定時間をオーバーし本音トークでディスカッションできました。

昨今の学会では、暗黙の社会的制約があり、なかなか本音で話し合えません。同業者どうし、患者さんのためにどうすべきなのか、疑問を投げかけ合い、討論しました。まだまだ解決していないことが山盛りで、多くの課題を頂きました。有意義なカンファレンスでした。


さて、カンファレンスの後は、お楽しみの第二ラウンドです。会場は "海の台所 たこつぼ" です。高口先生いわく「気どらない美味しい居酒屋さんだから、楽しみにしていてね。先生(僕のこと)も、きっと気に入ると思うよ」って、連れてってくれました。

店の前に、「ばばあ鍋始めました」と張り紙してありました。-ばばあ鍋って何だ?女将さんが○○○ってこと?と思い暖簾をくぐると美しい女将さんがいらっしゃいました。ばばあとは魚の名前のようです。しかも板長ブログによると、昨日はその女将さんの誕生日だったようです。おめでとうございます。
さすがは、海の台所。新鮮な魚を、ガツンと食べさせてくれます。
「魚とくれば猫でしょ」ってことで「山ねこ」を飲みながら、讃岐の仲間と親交を深めました。喜田先生の経験談や若い先生たちとの活力みなぎる話で盛り上がりました。

「先生、〆に”うどん”行きましょう。良い店が近くにあるんですよ。」 「はいはい、行きましょ、行きましょ!」
東京だと〆はラーメン、讃岐だと う・ど・ん (こっちのが健康的?)
第3ラウンドです。その店は週末の夜のためか列が出来ていました。さすがは、うどん。回転が速い。ほどなく入れました。
カレーうどんがこの店の名物とのこと。お腹いっぱいだったのに、ペロリと完食!ワイシャツに黄色い汁もしっかり飛ばして。

ちょっと、カロリーオーバー気味ですが、充実した讃岐の夜は更けていきました。

香川県立中央病院の高口浩一先生、喜田医院の喜田恵冶先生、高松赤十字病院の小川力先生、大原芳章先生、三豊総合病院の守屋昭男先生。大変お世話になりました。この場を借りて感謝申し上げます。

 研究会会場に向かうため、わずか5分ほどですが琴電に乗りました。今年で開業100周年です。
時代の風雪に耐え、今日もローカル線を真面目にコトコト走っています。
100周年記念ポスターの働く男たちの姿には、心を打たれます。労働世代の生活保護や失業、一方で極端な利益崇拝、給料格差(この場合貰い過ぎ)が、社会問題になっていますが、真面目に働く美しい姿を是非見てください。写真家GABOMIさんが、言葉にできない大切な日常の一コマを私たちに伝えてくれます。

 写真家の後に気が引けますが、琴電高松築港駅の隣、玉藻公園(旧高松城)で菊まつりが開催されていました。美しい日本の秋を象徴する花です。よろしかったらご覧くださいね。
 余談ですが、このお城、お堀は瀬戸内海の海水を引いています。普通、お城の堀には鯉ですが、ここは鯛ですよ!黒鯛!



お知らせ

 「B型・C型慢性肝炎肝がん最新治療について」の講演会

11月26日土曜日に開催される予定です。講師は、武蔵野赤十字病院の板倉先生でわかりやすく解説してくれると思います。

 新宿で、なんと事前申し込み不要、入場も無料だそうです。宜しかったらどうぞ。
ただし先着80名様!




お知らせ


県民のための ”がん”セミナー が勤労感謝の日に中央病院で開催されます。

「山梨の緩和ケア事情」
-あなたはどこで療養したいですか?-

講師は、第一線の現場で、実際に緩和ケアを実践されている先生方です。
きっと、お役に立てると思います。

参加申し込みは、郵便はがきに氏名・住所・電話番号を記載し、
〒400-8506甲府市富士見1-1-1 山梨県立中央病院企画経理課 宛て
11月18日金曜日締め切り です。




2011年11月9日水曜日

-本当にこのままで良いのでしょうか?-

       全国農業協同組合連合会のイラストを拝借してしまいました


11月9日水曜日 Trans Pacific Partnership について、賛成ですか?反対ですか?

-本当にこのままで良いのでしょうか?-


環太平洋経済連携協定 (TPP) は、もともと2006年に「小国同士の戦略的提携によって市場で優位になること」を目的に発足しました。


 当初、シンガポール(東京23区と同じ)、ブルネイ(三重県と同じ)、チリ(日本の2倍)、ニュージーランド(日本の3/4倍)の4か国が、”小国同士仲良く、関税を取り払い、連携して頑張ろう”と始まった協定です。


 ところが、オーストラリア、ペルー、アメリカ、ベトナム、マレーシアが新たに加盟を表明しました。


 大国は、関税撤廃・自由貿易自国の利益になると判断したのでしょう。


 2010年、横浜でのAPEC首脳会議で、バラク・オバマ米大統領を議長とし、14日後に開催される予定の、2011年APECにおいて、妥結と結論を得ることが目標とされました。


 本邦は、未曽有の震災のために、環太平洋経済連携協定に参加するか否かの十分な議論がされないまま(故意かもしれませんが)となり、2011APEC直前に、ゴタゴタしているんですね。

 日本国家の将来において、かなり重要な決定だと思うのですが、こんな大切なことを、議論不十分のまま、国民の意見を集約せず、”総理の政治的判断で”お願いして、本当に良いのでしょうか?


 日本国民は、どこに行ってしまったのでしょうか?


 政治家の批判をしているだけでは、ダメです。 国民の政治離れ、無関心、無知が、国家を滅ぼすのです。

 自分たちや未来の日本国民幸せに暮らせるためには、私達が今、議論できる知識を持ち、他人任せにせず、積極的に物事に望むべきでしょう。政治家をダメと思うなら、選挙で落とせば良い。良い候補がいないなら、良い候補を擁立すればいい。何もしない無関心が最もいけないことです。

 無関心、無知 そして自分さえ良ければ、という 自由主義の弊害にどっぷり浸かっていれば、国家は滅びます。歴史や他の国が、いくつも証明してくれています。

 今こそ、日本国民一人一人が自覚と誇りをもって、積極的に生きることが必要とされています。景気が悪く、震災があって、つらい時こそ、です。

 幸い環太平洋経済連携協定に関しては、憲法第73条で国会の承認なしに条約締結は出来ませんから参加にしろ不参加にしろ、唐突に参加するのではなく議論してから結論を出すべきでしょう。
 参加するなら、官民共同のタフな交渉人を連れて行かないと、それこそ彼らの思う壺ですよ。何たって戦略的提携で自国の利益を目的に、みんな集まっているからね。



2011年10月10日月曜日

秋の一日 満喫

10月8日土曜日秋晴れ

みなさん こんにちは。お久しぶりですね、いかがお過ごしでしょうか?
さて、あの猛暑も、気付けば清々しい秋風に代わっていますね。
これから秋本番!スポーツ、読書、食事、何から楽しみますか?

僕たちは、”ハロウィン駅伝 in 皇居”に出場して、早速、スポーツの秋を楽しみましたよ。

ハロウィン駅伝 in 皇居 より

我が杏雲堂病院からは、2チームが参加しました。A組とB組、もちろん僕はB組担当です。
ミッションは、スピードよりも仮装!どうですか?

出走前の1コマ

桜田門(スタート地点)をバックに

病院関係者の皆様のサポートのお蔭で、TEAM 杏雲堂は、仮装大賞 を戴きました!
やったね!

これからが本番です。第一走者の務めは、スタートダッシュ、そして時間を稼いで第二走者に襷を渡すこと。解っちゃいるけど・・・一昨日は雨で、昨日は当直で、二日連続でジョギング出来ないまま本番です。

いつも8km/hrでゆっくりジョグを、楽しんでいる僕にとって、やはり皇居一周 (5km) はつらいよ!
でも前を行くパンダちゃんの着ぐるみの女の子には、負けられない、うん、絶対に! 
以外と早いパンダちゃんのお尻を何とか追いかけ、英国大使館前ではめげそうになったけど、半蔵門過ぎたところで、パンダちゃんを追い越しなんとか25分で第一走者の役目を果たしました。

 腫瘍内科の河野先生もAEDのお世話にならず、何とか生還!パチパチ。
サポートを頂いた病院関係者の皆さん、留守を預かってくれた梶山先生、どうもありがとうございました。

この後、打ち上げパーティーで、乾杯!のはずなのですが・・・・

これから大阪で研究会です。急いで病院で着替え、新幹線で一路大阪へ。車内でのオールフリーが、ご褒美です。

午後、”第5回PEG-IFN Expert Meeting”に参加しました。
B型慢性肝炎の治療目標とPEG-IFNの役割、テラプレビル治療の注意点についての講演、さらに肝癌に対するPEG-IFNのディスカッションがありました。

スポーツに勉強に、最適な一日でした。
おっと、忘れていませんか?食欲の秋。
前回ブログで登場した、たこ焼き屋さんに全国からいらした肝臓の先生方と再訪しました。
今回は、結構上手く焼けましたよ

楽しい会話とソースの香ばしい匂い、そしてよく冷えたレモンサワー。
秋の夜長を満喫です。



2011年8月7日日曜日

絶滅危惧種と三ツ星

8月7日 日曜日

昨日、大阪にてネクサバール発売二周年記念講演会が開催され、パネリストの一人として参加しました。

ネクサバール(=Sorafenib)は、肝細胞癌に適応のある唯一の分子標的薬です。癌細胞の増殖やがん細胞を養う栄養血管の成長を支配する指示系統を遮断してくれる薬です。いわばリレーのバトンを渡せないように邪魔をする、癌細胞にとってはかなり嫌な奴です。

ネクサバールが日本の医療現場に登場して、二年が経過し一万人を超す患者さんに処方されたそうです。使い方、特に副作用対策など医療者側もだいぶ手馴れてマネージメントできるようになってきました。次のステップは、どのような状態の肝がんに使えばもっとも有効なのか?今回の議論の的でした。

肝がんが転移した場合は、肝機能が許せば文句なくソラフェニブですが、さらに転移のない状態で使えばもっと良いのか?特に繰り返しTAE(肝動脈塞栓術)やHAI(動注化学療法)を行っている集団が、ネクサバールの前倒し使用のターゲットとなっているわけです。

どの時点で既存の治療からネクサバールに切り替えるのか?ちょっと業者主導の感は否めませんが、灼熱大阪の外気に負けない熱い討論がなされました。本当は、学会のパネルディスカッションで討論すれば、もっと本音でフェアな討論が出来ると思います。近頃の学会はパネリストが多すぎでパネル提示のみでディスカッションがないのが現状です。フロアの先生方も大人しく(ネット世代のためか)匿名化しないと何も言えないようです(ちょっとグッチになっちゃった)。何はともあれ、ある程度時間を使って討論が出来たこと、結果として何となくコンセンサスが得られたことが収穫でした。

僕は絶滅危惧種である動注化学療法を代表してパネル発表しました。動注化学療法はその手技とメンテナンスが煩雑なうえ、標準化されていないため、海外では全く認知されていない(真似できない)治療法です。もちろん日本でも限られた施設の限られた医者がやっているのが現状です。標準化されていないということは種の保存、繁栄を怠っているので絶滅危惧種になるわけですね。でも逆を言えば、バイトのお兄ちゃんでも一定の味が出せるファミリーレストランを目標とするか、熟練した職人技で三ツ星を狙うか、動注屋は後者のイメージが強い集団です。その動注化学療法がはるかに簡便な内服薬であるネクサバールのターゲットになるのも道理です。でもどっちが本当に患者さんにとって良いのか検証する必要があります。現在比較臨床試験を行っています。どっちが美味しいか?近い将来患者さんが決めてくれます。



講演会終了後、阪大外科の永野先生、香川県立の高口先生達と大阪丸ビル地下のたこ焼き屋さんに行きました。ここは自分でたこ焼きを焼くことが出来ます。さすがは地元大阪出身の永野先生は鮮やかな手つきでたこ焼きを焼きます。コツはどうやら待ち、と押し込み、そして回転のようです。子供のころから家庭で焼くそうです。僕らは危うくもんじゃ焼きになりそうでした。レモンサワーの清涼感とともに夏の暑い夜は更けていきました。

ブログの更新を怠っていたことからもお解りになるように、ちょっと忙しかった・・です。暑さや忙しさを理由にサボっていたいたジョグ、今朝は行きましたよ!大阪駅前から御堂筋を難波まで往復、名付けて夏の大阪満喫コース。昨日のレモンサワーが出てきたのか?爽やかなレモンの香りのような汗をいっぱいかいて・・・。

新幹線で東京に戻っています。

2011年6月15日水曜日

お腹が・・・

6月5日 日曜日

北杜市立甲陽病院に通うようになって気付いたこと。
①山の美しさ。
②60-70歳台のがん好発年齢を乗り越えれば、あとは自分次第。

②について説明しますね。「あとは自分次第」について・・

甲陽病院の病棟を週1回 火曜日の早朝に回診しているのですが、内科に15人ぐらい入院していて、そのうち意識がある人は5人ぐらいです。

みんな高齢者で平均88歳位でしょうか。主に脳血管障害で寝たきり、誤嚥性肺炎で入院、胃瘻(お腹を刺し胃袋に入れた管)からの栄養というパターンです。例え意識がなくとも、本人もつらいでしょうし、家族も大変ですよね。さらにガンじゃないから、この状態が続く(長生き)んです。

何とかならないか?と思いますよね。

本邦の死亡原因の半数はガンですよね。ガンは大体80歳までの病気です。リスクを減らすことが出来るガンもありますし、治るガンもありますが、半数がガンで亡くなるのが今の現実です。自分の努力ではどうにもならないこともあります。

さて幸いににもガンにならなかったら。次は血管障害(脳梗塞、脳出血、心筋梗塞)です。
これらを予防するには、地道ですが肥満、高血圧、高脂血症、糖尿病をコントロールしておけばOKということになります。つまり”自分次第”です。

寝たきりにならないために・・どうすれば良いか・・・分かっているのに・・・このお腹・・・?

・・・・というわけで爽快な日曜の早朝に、飛び出しましたよ・・海を目指してジョギングです。


新大橋通りを南下すると右手に築地本願寺が見えてきます。本願寺の外壁に東日本大震災の応援ポスターが貼ってあります。その中の一枚、Don't give up ! We can do it ! 好きだなぁーこういう言葉。
昭和40年生まれだもの・・・7月初旬に海外の肝がん専門医の前でプレゼンする予定なので使っちゃおう、このフレーズ。やっぱ、早起きは三文の徳だね。でもまずは自分のお腹を何とかしなきゃ・・それこそNever give up !

おぉ 見えてきました!ライバルの姿が・・・・。ランナーじゃありませんよ!
嘉山総長率いる国立がん研究センター中央病院です。「お互いがんばろうぜーっ」てエールを送りました。届いたかなぁ?
さあ築地市場をすり抜け、汐留交差点を左に舵をきると、左手に浜離宮です。潮の香りがしてきました。海はもうすぐそこです。

今日の目的地は、竹芝桟橋です。

着いたーっ!


ちょっと霞がかったお台場方面に向かって携帯で写真撮影です(カシャーァ)。遠くに見えるのはレインボーブリッジです。


反対側(Water Front)をみると朝日が昇ってきました。今日も良い一日であるように!お祈りしました。さあこれから新橋駅までもう一走り。御茶ノ水まで電車で戻って、ちょこっと回診です。

第43回肝癌症例検討会

6月4日土曜日


秋葉原にて第43回肝癌症例検討会が開催されました。今回のテーマは”細胆管細胞癌”です。


最近、細胞と胆管細胞の繋ぎ手であるヘリング管幹細胞が存在することが明らかになりました。細胆管細胞がんは、通常の肝細胞癌や胆管細胞癌とは異なり、このヘリング管細胞由来のがんとされています。


第5版原発性肝癌取扱い規約から、細胆管細胞癌は独立した疾患として提唱されています。


比較的稀な疾患なので、症例検討会のように各施設から症例を持ち寄って、その臨床像(画像、腫瘍マーカー、病理組織像、治療、予後)を明らかにして、いかに通常の肝細胞癌や胆管細胞癌と見分けるのか?知りたいところです。


内科医や外科医はもちろん放射線科医や病理診断医も集まって議論しました。

2011年6月3日金曜日

第47回日本肝臓学会総会

6月2日木曜日から3日金曜日

お台場のホテルグランパシフィックLE DAIBAにて、第47回日本肝臓学会総会が開催されました。
当科からは、4演題を発表しました。

佐藤新平先生は、
「転移性肝がんに対する経皮的ラジオ波焼灼療法の成績」と「ソナゾイド造影超音波が与えたインパクト」について発表しました。
発表中の佐藤新平先生

佐藤隆久先生は、
 Late evening snackは進行肝がん患者の自覚症状を改善する」という演題名で報告しました。
会場で。佐藤隆久先生

河井敏宏先生は、
閉塞性黄疸を伴う進行肝細胞癌に対する胆道ドレナージ化のインターフェロン併用動注および全身化学療法の治療成績」を発表しました。
発表中の河井敏宏先生

日々の診療をまとめて発表し、全国の先生方と討論することによって自分たちの診療を検証することが可能です。臨床研究が明日の医学の扉を、きっと開くことでしょう。



新しい仲間 2

6月1日水曜日

本日から消化器内科医員として、八島陽子先生が日赤医療センター消化器内科より赴任してくれました。東京大学消化器内科のご配慮によって実現しましたので厚く御礼申し上げます。

八島陽子先生は、胆膵のエキスパートです。
肝臓が産生する胆汁は、胆管を通って(途中、胆のうに寄り道して)十二指腸に流れます。この経路を胆道と呼びます。これらの疾患や膵臓疾患、さらに何らかの原因で狭くなった消化管を、形状記憶合金で広げるステント治療も行ってくれます。まさに太陽の子のように熱い情熱をもって治療にあたってくれると思います。

当初わたし一人で始めた肝臓科も、肝臓のみならず消化管、胆・膵の専門医が加わり、名実ともに消化器・肝臓内科となりました。さらに当院の腫瘍内科や消化器外科と連携し消化器センターを目指します。

患者さんのあらゆるご要望にお答えできる体制が整いつつあります。
消化器疾患全域を対象に、良性疾患から悪性疾患、緩和療法、さらに在宅治療も視野に入れて努力する所存です。

これからも一緒に頑張りましょうね。


太陽のように力強く、海のように広い心で
病気で苦しむ患者さんたちを助けたいと思います
(帝京ちば医療センターに向かう道中でのひとコマ)

2011年6月1日水曜日

129年目の創立記念日

6月1日水曜日 

当院は、明治15年に創立された老舗病院です。今日を迎えられたのも、患者さんに必要とされ支えて頂いた賜物です。心より感謝いたします。



創立記念日の企画として“がん講演会”が開催されました。

トップバッターとして、当科から佐藤新平先生が 難治がんにラジオ波で挑む という講演を行いました。
他施設で断られた患者さん(頭蓋骨転移や頬骨転移、腎転移症例など)を 無痛ラジオ波 で見事に治療した患者さんを提示しました。講演会にいらっしゃった皆様に理解して頂けるように、心に響くように、患者さんの声も入れて、講演してくれました。理解を助け、笑いと感動の涙を誘うスライド作成を手伝ってくれたのは、当科のアイドル高木さんです(ありがとうね)。

講演中の佐藤新平先生です

佐藤新平先生は、2年前に当院に赴任してくれました。ラジオ波による悪性腫瘍の治療を専門としています。
ラジオ波焼灼療法の問題点の一つであった治療中の痛みを、麻酔科の先生と協力して上手くコントロールすることによって、安全かつ十分な治療を行っています(ラジオ波紹介のページ)。

佐藤先生の講演に続いて、当院婦人科の坂本先生が若年子宮頸がんの最近の治療戦略 PDTで治療することによって、妊娠や出産が可能というデータを示してくれました。
さらに がん研有明病院化学療法科・血液腫瘍科部 畠清彦先生 が “抗癌剤治療におけるチームと活性化”という内容で講演してくれました。がん研有明病院で、どういう問題点があって、どのように抗癌剤治療におけるチームが形成されていったのか、結果として抗がん剤治療がいかに安全に効果的に治療できたのかを、熱演してくれました。

このあとお向いさんの明治大学1階のパンセで懇親会が開催されました。

2011年5月31日火曜日

肝疾患相談センター

 患者さんにお知らせです。

東京都(福祉保健局保健政策部疾病対策課)は、肝疾患に関する情報提供や肝炎患者さんの支援充実を図るため肝疾患診療連携拠点病院を指定しました。

虎の門病院 港区虎ノ門2-2-2 
相談専用ダイヤル 03-3560-7672

武蔵野赤十字病院 武蔵野市境南町1-26-1
相談専用ダイヤル 0422-32-3135

どちらの施設も“肝疾患相談センター”を開設しています。
受付時間 月曜日から金曜日 9:30~16:00 (年末年始を除く)
相談内容 肝疾患に関する治療や医療費助成など
相談方法 電話または面談

山梨の患者さんは、

山梨大学医学部付属病院 第一内科 中央市下河東1110
受付時間 月曜日から金曜日 10:00~16:00 (年末年始を除く)
相談内容 肝疾患に関する治療や医療費助成など
相談方法 電話または面談(電話予約後)

以上です。

当院は肝疾患診療連携拠点病院ではありませんが、外来では“健康よろず相談所”を目指しています。何なりと心配事がありましたらご相談下さいね。
また各種助成に関しましては、医療連携・医療相談室で、いつでも相談できます。窓口は正面玄関入ってすぐ右手にあります。お気軽にご活用下さい。


2011年5月30日月曜日

第40回日本IVR学会に参加して


5月19日木曜日

今日から3日間、青森で日本IVR学会総会が開催されます。IVRというのはインターベンショナル・ラジオロジー(Interventional Radiology)の略です。IVR学会のホームページに解説がありますので引用しておきますね。


IVRは、日本語訳として一般的に「放射線診断技術の治療的応用」という言葉が用いられますが、「血管内治療」、「血管内手術」、「低侵襲治療」、「画像支援治療」もほぼ同義語として使われています。エックス線透視や超音波像、CTを見ながら体内に細い管(カテーテルや針)を入れて病気を治す新しい治療法です。


 IVRは手術を必要としないため、身体にあたえる負担が少なく、病気の場所だけを正確に治療でき、入院期間も短縮できるなど優れた特徴を持っています。高齢者や状態の悪い進行ガンをふくめたガンの治療に広く応用され、その他に緊急状態(大出血)からの救命や、血管などの閉塞あるいは動脈瘤に対する治療にも有効な治療方法です。


以上ホームページから引用


 僕たちが日常行っているRFA(ラジオ波焼灼術)やTAE(肝動脈塞栓術)さらに動注カテーテルの埋設などの治療は、全てIVRに属します。


 IVRはまさに技術そのものなので、上手い下手があります。肝臓の領域では、日本が技術を開発・改良して世界をリードしています。日本IVR学会は、技術の標準化とスキルアップさらに新しい技術の開発について全国からエキスパートが集まる勉強会です。






 記念すべき第40回会長は、鳴海病院の淀野啓先生です。この学会の総会に参加するため、青森にやってきました。

早朝、恒例の学会ジョギングです。今回は青函連絡船の遺構を巡ります。
津軽海峡を渡ってきた爽やかな潮風に包まれ、生命に活力を注ぐ春の朝日を全身に浴びて、疾走(実際は早歩きのスピードです)します。

朝日が津軽海峡を照らします

写真左手が青森駅、係留されている連絡船は八甲田丸です。

この桟橋に残るレールは北海道に繋がっていました。
つばめマーク付のC62 2もこの桟橋から青函連絡船にのって北の大地に渡ったと思います
(鉄ちゃんでないとわかんないよね)。

 レールのように錆びついた筋肉と、古い脂がこびりついた循環系を、久しぶりに磨きながら、ホテルにもどりました。


 シャワーを浴びて学会に出陣です。

19日午前中は、技術教育セミナー BRTOの実際、ランチョンセミナー は、工藤正俊先生の”肝細胞癌治療におけるsorafenibの位置付け,その適正使用ならびに今後の展望” そして午後は、シンポジウム2 IVR達人への道⑴ 肝癌治療のIVR と 技術教育セミナー デンバーシャント に参加しました。

IVR学会の素晴らしいところは、技術教育セミナーにあります。その道の達人が3-4人登場して「うちではこうやっている、ちょっとしたコツはここです」のようなプレゼンテーションを行い、その後会場前に設置されたデモストレーションで実際に達人から教えてもらうことが出来ます。達人たちも技術の普及と標準化のために一生懸命教えてくれます。また企業も高価なデバイス(針やカテーテルなど)を提供してサポートしてくれます。

数ある学会の中で、これほど技術教育が成されている会は、他にありません。


教育セミナー 実際に医療器具を触って感触を確かめます。達人より直接指導してもらえます。

自分の医療技術を検証し、謙虚に学ぶ絶好の機会に恵まれました。名残惜しいのですが、20日金曜日は、本業のカテーテル手術と病棟回診、外来がありますので夕方の新幹線に飛び乗り一次帰京。

20日金曜日は、佐藤新平先生に骨セメントの教育セミナーに参加してもらいました。これから超高齢化社会を迎えるため、科の枠を超えてとても重要な手技と思われます。”穿刺の技術が人々の暮らしを守る”これが目標ですね。

21日土曜日早朝(午前6時から・・・主治医の影響で患者さんは早起きになります。)に回診後、再度青森に。

IVR学会のもう一つの素晴らしいところは、技術ですから当然、全例で上手くいくわけではありません。一生懸命やっても条件が悪い患者さんに行うと時に上手くいかない場合もあります。失敗学という学問があるように、上手く行かなかった場合、どのように対処すれば良いのか?患者さんを救う、そのためにお互いに知恵を出し合い討論します。午後には市民公開講座と淀野啓先生の講演 ”鳴海病院の奇跡の軌跡”がありました。青森でも、民間病院でも、最高のIVR医療が受けられるように努力している淀野先生の姿がありました。


八甲田山の残雪と新緑です。雪で冷やされた空気が霧状になり、幻想的な風景となっています。

2011年5月23日月曜日

教育が組織を変える

5月18日水曜日

山梨県立中央病院の1階売店横の壁に、今年度新入職した看護師さんを紹介する掲示があります。


水の中を悠々と泳ぐ魚ですが、よく見ると小魚が集まって一つの大きな魚ができています。内側のピンクの小魚が新入看護師です。各自の抱負が書き込まれています。(技術や知識、努力、笑顔などの単語が目立ちます)。そのかわいい小魚ちゃん達を囲む黄色の魚が先輩達です。それぞれの立場で一言コメントが書いてあります。新入職員を先輩が優しく時に厳しく見守っています。

お魚の口の辺りに見慣れた書体がありました。新入職員の心に響く一言と思います。やっぱり組織を育てることは人を育てること。働くスタッフが立派に成長すれば結果として組織も成長します。小さな努力や教育も、積み重ねることによって、きっと、素晴らしい結果に繋がると思います。


教育の大切さを痛感して帰京しました。ちょうど今日の午後は、東京大学医学部5年生の学生さんに対する病院実習(教育)を当院が担当することになっていました。

大学病院には無い、当院ならではの治療現場(無痛ラジオ波、進行肝癌の化学療法、緩和医療)を見学してもらいながら、学生として何を学ぶべきか、少しでも将来の参考になるよう指導しました。将来、日本の医療を背負って立つ学生さん達に満足して帰ってもらうため努力しました。
学生実習も終わり、診療もひと段落つきました。

17時56分 はやて139号で、IVR学会が開催される青森に向かって出発です。


東北新幹線(はやて号)に貼られてある、東北エールのステッカーです。

道中、僕も右側(東側)にむかって「僕も頑張るから、皆もね」って、エールを送ることにしました。
さあ、お弁当も買ったし、新青森に向けて出発です。

新しい仲間

4月1日 平成23年度の始まりです。

皆様 こんにちは。
肝臓内科・消化器内科トピックスを開いていただき、ありがとうございます。

お気づきかもしれませんが、投稿(執筆日)日と文頭の日付(本来の日)が合っていません。気分の乗った時しか書けませんので、時空が前後します。溜まった内容を回想して書いたりしたのが原因です。よろしくお付き合い下さいね。

さて、新年度を迎え当科も新しくなりました。
今年度はスタッフが充実します。肝臓のみならず消化管疾患(胃や腸)、胆膵疾患に専門医を招聘しました。従来にも増して良い医療(きれいに治す・早く治す・安く治す・安心を添える)が展開できると思います。スタッフ一同頑張りますので宜しくお願い申し上げます。

スタッフ紹介

河井敏宏先生 2010年10月赴任 

佐藤新平先生が帝京大学溝の口病院に勤務していた時に知り合い、肝腫瘍のラジオ波焼灼術を極めるため(佐藤新平先生の「俺の右腕にならないか」と誘われ)当院に赴任してくれました。
前職の自衛隊中央病院時代は航空自衛隊に属し大尉だったそうです。持ち前の体力と勉強熱心な真面目さがウリです。当直でもオールバックで決めて頑張っています。

杉本貴史先生 2011年4月赴任

内視鏡部の充実を図るため、東京大学消化器内科のお力添えを頂き、当院に赴任してくれました。
大学では内視鏡治療専門医として、早期胃がんや大腸がんの内視鏡的治療を行ってきました。その経験を生かし低侵襲のがん治療を展開中です。確かな技術と関西育ちのユーモアを添えて診療にあたってくれると思います。

梶山祐介先生 2011年4月赴任

河井敏宏先生と同じく、佐藤新平先生が帝京大学溝の口病院に勤務していた時に知り合いました。
帝京大学大学院を卒業して、肝がん治療の研鑽を積むため1年間の予定で赴任してくれました。もの静かで実直な性格の持ち主です。何事にも一生懸命取り組んでくれますので、早くも患者さんやスタッフからの信頼を得ています。

6月からは、さらに日赤医療センターより八島陽子先生が胆膵疾患(胆のうや膵臓の病気)の診療を立ち上げるため赴任してくれる予定です。

これからもスタッフ一同、医療の向上のため努力します。よろしくお願いします。



杏雲堂病院創始者 佐々木東洋先生銅像の前で

左より 河井先生、杉本先生、佐藤隆久先生、小尾、佐藤新平先生、梶山先生です。

2011年5月18日水曜日

ObamaとOsama, そしてJUSTICE

5月2日 Obama announces the death of Osama bin Laden by CNN

Dear President Barack Hussein Obama, Jr.,

オバマ大統領の記者会見で"Justice has been done"と仰っていました。
残念なことにまた殺し合いです。確かにテロを企て実行したことは卑劣で残念な行為です。当然、テロで無念にも亡くなった方々、そして愛する人々を失ったご家族の気持ちは計り知れません。

しかし問答無用(裁判なし)で射殺する(そして祝福する)のは許されるのでしょうか?

本当にJusticeなんでしょうか?
本当にTerrorismは根絶するのでしょうか?

テロ自体は憎むべき行為ですが、なぜ実行に至ったのか、回避することは出来なかったのか?
次の悲劇を生まないために、必要な検証だと思います。正論が通用しない相手かもしれません。
しかし諦めず忍耐強く立ち向かう必要があると思います。

いつの時代も正論は誰もが理解していながら悲劇は繰り返されます。

もう戦いは終わりにしましょう。憎しみが憎しみを呼ぶ戦いはもうやめまししょう。病気も克服できない、自然災害も克服できない私達です。せめて人が人を殺すなんて、理由がどうであれもうやめましょう。

MAHATMA GANDHI teaches me that truth can never be propagated by doing violence. Those who believe in the justice of their cause have need to possess boundless patience. 


Yours sincerely,

2011年5月17日火曜日

第97回日本消化器病学会総会


5月13日金曜日から15日日曜日にかけて、第97回日本消化器病学会総会が新宿の京王プラザホテルで開催されました。当科からは、私(小尾)が1題と佐藤新平先生が2題の発表です。

13日金曜日、朝の回診をしてから出陣です。学会が東京で開催されると城(病院)が守れるので安心です。

一生懸命作ったスライドを、PCセンターで登録して準備完了です。午前中は、肝癌のミニシンポジウムに参加しました。ソラフェニブやミリプラチンの臨床成績が報告されました。この2剤は最近臨床現場に登場したので話題性があります。各施設の生のデータを聞き、自分の考えを整理できる絶好の機会でした。

午後は、いよいよ私の出番です。パネルディスカッション7「進行肝細胞がんの治療選択」というセッションです。全国から選ばれた15施設より、進行肝細胞がんに対する化学療法や放射線治療の基礎研究から臨床試験データまで広く討論することが出来ました。大阪大学の和田浩志先生からはIFN併用5FU動注化学療法の効果予測因子としてIFNR2に加え、EpCAM, IGFBP7, miR-21の発現が関与していること、また金沢大学の山下竜也先生からサイトカインのIL4底値が奏効に関与していると報告されました。私どもはソラフェニブ60例の解析から減量投与量開始の有効性と安全性、さらに動注化学療法との比較データを発表し、門脈腫瘍浸潤症例における治療閃絡について議論してきました。新しい知見を共有し、一歩一歩医学が発展することを実感できる楽しみがありました。

夕方、私達に加え日赤医療センターの吉田英雄先生と懇親会を行いました。お隣のNSビル最上階の居酒屋さん”浪速ろばた八角”で、抜群の見晴らしのなか明るいうちからキンキンに冷えたビールで喉を潤しました。

14日土曜日は、佐藤新平先生の出番で、私は病棟を守りました。佐藤先生は、進行肝細胞癌患者における胃食道静脈瘤破裂75例の検討というタイトルで発表しました。門脈腫瘍浸潤症例では門脈圧が上昇して静脈瘤破裂を来すリスクが高いです。今後どうすべきか、議論されました。同じセッションでは同僚の谷口博順先生(現 日赤医療センター)と大木隆正先生(現 三井記念病院)が発表しました。

午後病棟が落ち着いたので、石井裕正先生追悼記念講演”酒と水と命”を聞きに行きました。
東大病院に在籍していたころ、御茶ノ水消化器病研究会という会がありました。御茶ノ水界隈の大学があるテーマに従い、症例発表して切磋琢磨することを目的とした会です。臨床能力、発表能力を各大学の教授が評価し順位が決まるという厳しくも(今振り返ると)非常に役立った会でした。
その時お世話になったのが慶応大学教授故石井先生であり追悼公演演者の順天堂大学教授佐藤信紘先生でした。
講演はアルコール肝炎研究の歴史が良くわかる内容でした。特に興味深かったのはミトコンドリアです。ミトコンドリアは生命のエネルギーを作り出している細胞器官です。ミトコンドリアをいかに元気で長持ちさせるか?僕も考えたいと思いました。

15日日曜日 爽やかな五月晴れの朝を迎えました。西新宿も日曜の早朝は、静かです。街路樹の新緑と清々しい空気に包まれます。

会場に向かう途中にあったPRONTOでモーニングを頂き、休日の朝を満喫しました。

午前中はワークショップ12 非代償性肝硬変の合併症とその対策というセッションに参加しました。山梨大学の進藤邦明先生がChild-Pugh Score別の予後とその規定因子を発表しました。Child Cでも10-11点では、思ったより予後が良いこととやっぱり腎機能が予後を規定することが再認識されました。
さらにPSE 腹水濾過濃縮再静注、デンバーシャント、TIPSが報告されました。これらの手技は、賛否両論なので誰にどのようなタイミングで行うべきなのか?どうすれば合併症を防げてうまくいくのか?検討が必要だと思いました。

昼は、クローン病(炎症性腸疾患)のランチョンセミナーに参加しました。演者は同じ釜の飯を食べた加藤順先生(現 和歌山県立医大消化器内科 准教授)です。クローン病治療の現在における問題点をわかりやすい論旨とスライドに、関西弁のスパイスを添えて講演してくれました。

午後は佐藤新平先生の2題目、切除不能進行胆管細胞癌に対する動注化学療法の発表がありました。現在はジェムザール、TS-1が第一選択薬として用いられていますが、これらの薬が登場以前から行った症例や第一選択薬が効かなかった症例に使った成績を出しました。

春と秋は学会シーズンです。学会はいろいろな先生にお会いできて議論できる貴重な機会です。今後も有効に利用したいと思いました。

2011年4月28日木曜日

朝日と旭

4月27日水曜日

毎週水曜日は、山梨県立中央病院で行われる消化器カンファレンス(7:45~)に参加します。
中野始発4:25の各駅を乗り継ぎ甲府駅には6:45に到着します。病院までは徒歩20分ぐらいです。
暖かな春になり、爽やかな朝を迎えました。

写真は甲府駅前”平和通り”の新緑です。朝日に新緑が輝いています。
県立病院にも新しい仲間が増え、山梨医大の学生さんも学外実習で参加し、まさに朝日に輝く新緑に包まれた雰囲気になっています。カンファレンスには、消化器内科・外科・緩和医療科・放射線科の先生方に看護師さん医療事務の方々や治験コーディネーターそして医学部学生達が参加して、病院の諸問題や患者さんの診断治療や退院後ケアについて多角的に議論します。情報を共有して、職域を越え問題解決に向けアイデアを出し合う、全ては患者さんを”きれいに、早く治す”ために。


今朝は病院の当直体制についても議論がありました。当直といえば、僕が研修医終了直後からの2年間研鑽させて頂き、大変お世話になった旭中央病院を懐かしく想い出しました。

旭中央病院は、房総半島の東海岸に近く、銚子の少し手前に位置します。旭市は人口7万人の海沿いの町で主産業は農業や漁業の町です。そこに諸橋芳夫先生1952年12月院長に就任以来、「すべては患者のために」という哲学で、同病院を956床の大病院に育てました。


 僕がいた平成5年頃は、諸橋イズムが完成の域に入っていた頃でした。房総半島の東側はもちろん鹿島からも患者さんが集まり、病院を中心に街(高齢者向けの洋品店やスーパー)が形成され病院城下町という感じでした。


 ”全ては患者のために”ですから、救命救急センターも断りません。それこそ1次から3次(軽症から重症)まで365日24時間ひっきりなしに患者さんが来てました。当直は全科当直!全ての科を診なければなりません。救急に来た患者さんは全て診るというスタンスでした。一応内科系、外科系、そして研修医の3人で当直していましたが、内科系の先生が縫合をしたり、外科系の先生が小児の風邪を診たり臨機応変にお互いに助け合い、次から次へ来院する患者さんをさばいていました。また各科の待機医が決まっていて黒板に記入されています。当直医は(研修医でも)気軽に電話をして相談したり指示をもらえるシステムになっていました。ですから当直医は安心して診療できましたし、その経験が今の僕らの礎になっていることは確かです。
 諸橋先生の「医師である以上何科専攻でも救急処置(トリアージ、初期治療)を身に着けないとダメだ」という教えから必然的に「お互いが協力し支えあう(教えあう)」というスタイルが定着したのだと思います。このシステムを受け入れてくれた房総半島の住民と先輩医師に、旭の若い医師(僕も含めて)は育てられました。