2014年1月11日土曜日

腹水・浮腫の新しい治療

みなさん、こんばんは。
いかがお過ごしですか?

 肝臓がくたびれてくると、むくみや腹水という症状が出てきます。なんでむくみや腹水が出るんでしょうか?

肝臓は、ヒトに必要な物を作ったり、貯めたり、不要な物を分解したりしてくれています。ヒトの化学工場といわれるゆえんですね。アルブミンという大切なたんぱく質も肝臓で作られているんです。肝臓が疲れて、働きが低下すると、血液中のアルブミン濃度も少なくなります。
血中のアルブミン濃度が低下すると、血管は血液中のアルブミン濃度を保とうとして、血液を濃縮します。血管から浸み出した水は行き場所を失って、むくみや腹水となります。血液が濃縮されるため、循環血液量が低下して腎機能も低下させます。腎障害のためむくみや腹水は溜まりやすくなります。さらに肝臓が硬いと、肝臓に流れ込む門脈という血流が流れにくくなり、腸管がむくんで腹水が溜まりやすくなります。

腹水は、お腹の張りや、急激な体重増加で、気付かれることが多いです。
では、治療はどうするのでしょう?

まずは、無理をせず安静が大切です。さらにアルブミン増加のため、アルブミンの材料である、分子鎖アミノ酸製剤(リーバクトやアミノレバンなどですね)を、服用してもらいます。また利尿剤(ラシックスやアルダクトンですね)を併用して、余った水分をおしっこにして追い出します。

これでも治まらない場合、アルブミン製剤(献血由来です)の点滴を行ったり、お腹に針を刺して抜き取ったりしています。

従来の利尿剤では、利尿の際に水のみならず、電解質(ナトリウムやカリウム)も強制的におしっこにして出してしまうのが問題でした。またある意味腎臓に鞭を打っているのでいるので、増量すると腎機能が悪化する問題がありました。


昨年9月にサムスカというお薬が開発されて認可されました。このお薬は、従来の利尿剤と異なり、水だけをおしっこにして出してくれる特徴があります。従来の利尿剤にこのお薬を上乗せすることによって、さらにむくみや腹水をコントロールする可能性が増しました。

本日、全国から関係する医師が集まり、使い方などを勉強する学術集会が開催されました。

導入には電解質バランスや肝機能を注意深く観察する必要があるので、入院が必要ですが、新たな選択肢が増えたことは朗報ですね。

勉強後は、大学病院の仲間たちと神楽坂で新年会を行いました。おでん屋さんのビーフシチューと卵かけごはんが絶品でした。


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